オレは巨人

 オレは目を覚ました。今回は神殿の様な所だ。オレは椅子にすわり、傍らには前に見たネコ執事が立っていた。今回のネコ執事はサイズが随分と小さい。オレの膝ぐらいまでしかない。

「オレは鬼か?」オレはネコ執事に聞いた。

「何のお話しで?」ネコ執事は質問に質問で返すという高等テクニックを使った。


 オレは椅子から立ち上がり周りを見渡した。太い柱、壁は無く外が見える。椅子は玉座というよう装飾のされた椅子で、椅子の後ろは壁があり、部屋になっているようだ。昔、本で見たような丘の上に建つ神殿みたいだと思った。柱の近くまで歩き、外を見渡すと、白い靄に覆われた所、まるで雲の上に神殿は建っているようであった。


 ネコ執事に案内され、玉座の後ろの部屋に入った。部屋は簡素でベッドとテーブル、椅子ぐらいしかない。テーブルの上には金色の竪琴だろうか、と鳥かごに入れられた金色のにわとりがあった。

「これはナニ?」オレはテーブルを指差しネコ執事に聞いた。

「こちらは金の卵を生むニワトリでございます。そちらは金のハープでございます。どちらも先祖代々の神殿の宝でございます」と、ネコ執事は答えた。

「お宝は厳重に管理しないと盗まれるんじゃない?」と、オレは聞いた。

「この神殿は雲の上にございます。何人も訪れることはできません」

 オレはこの話を聞いて嫌は予感がした。


 翌日、目を覚ますとネコ執事が慌ててやってきた。

「大変です。昨夜、何者かが侵入しまして、金のハープが盗まれました!」

「ん?だから言ったじゃん・・・」


 神殿前の雲に大きなつたが伸びていました。そこから下を覗くと1軒の民家が見え、蔦はその家からまっすぐ伸びているようでした。この神殿には斧もハサミもありませんでした。仕方なくその日は様子見になりました。


 夜になり、オレは寝ずに金の鶏の番をしていた。そこに小さな子供が現れた。子供はオレが起きていることに気づかず、金の鶏を抱え、走り出した。オレはベッドから置きだし、子供を追いかけた。

「まて、小僧!オレの鶏を返せ!!!」

 子供は一瞬振り向いたが、そのまま蔦を下りて行ってしまった。オレも蔦に掴まり、下を目指すが、蔦は掴みにくく、足場も悪い。オレはゆっくりと下りていく。

 しばらく下りると『ドン!ドン!ドン!』と蔦から音がして揺れだした。下を見ると子供が蔦に斧を振っていた。

「まて!まて!蔦が切れる!オレが落ちる!!!」

 オレは下に降りるのを止め、上に昇り始めた。しかし足場が揺らぎ、遅々として進まなかった。そして遂に蔦が傾き始めた。オレは蔦にしがみ付いた。蔦は地面に向かってものすごいスピード倒れていった。オレはしがみ付いたまま、倒れていく途中で気を失った。

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