第55話

 祐ちゃんと玲香ちゃんは小さい頃から仲が良くてそのままお付き合いを始めたという。私がそのことを知ったのはそのずっと後で、一緒に暮らすという報告を受けた親たちと同じ時期だったけれど。

 親たちはこぞって反対をしていて何度話し合いをしても決裂をしていた。同性というだけで何故そこまで反対するのか私にはわからなかったし、実際に会った二人は、お互いに信頼し合いとても良い関係に思えたから、私はそう伝えた。親たちにもそう言ったが私の意見なんて全く聞く耳を持たれなかった。何も力になれなかったけど、二人とは連絡を取り合い何度も行き来をしている。

 自分に正直に生きる二人が私は大好きで、だから小春をきちんと紹介出来たことがとても嬉しくて良かったなぁと思う。

 そして私には、もう一つ、せっかく会えた祐ちゃんに聞きたいことがあったのだ。


「ちょっと聞きたいことがあるから来てくれる?」

 そう言って別室へ祐ちゃんを誘う。

「どうしたの?」

 普段はおちゃらけているのに、真剣な表情をする。私が言いづらそうにしているから、真面目な相談だと思ったのだろう。


「あのね」

「うん」

「夜のことなんだけど」

「夜? あぁセックス?」

「うわっバカ、声大きい」

「今日が初夜かぁ、そりゃ不安にもなるよね」

 もっとからかわれるかと思ったけど、真面目に聞いてくれていた。

「初夜……ではないんだけどね」

「へぇ、そうなんだ」

「あっいや、最初のは事故みたいなもので……それからは一切なくて、えっとね」


 祐ちゃんを信頼しているから、私の疑問や心配事を正直に話した。

 一度そういう関係を持ったこと、その時の攻め受けの立場、女性同士の場合どうなのか、受けを嫌がる人もいるのか等。


「雛ネェはどうしたいの? もし、はるちゃんが受けが嫌だって言ったら?」

「嫌ならしない、絶対に」

 小春を傷ついたり嫌な気持ちになるなら、セックス自体しなくたっていい。


「それなら大丈夫だよ、雛ネェの正直な気持ちを話して、はるちゃんの気持ちを聞いてさ、話し合えばいいと思うよ」

「そう?」

「うん大丈夫、きっとはるちゃんなら雛ネェを幸せにしてくれるよ、良い報告待ってるね」

「うん……いや、報告はしないから」

「ちっ、引っかからなかったか。じゃあ雛ネェ頑張って、陰ながら応援してるから」

 あぁ、持つべきものは……

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