初めての週末

第49話

 金曜日、仕事中にも関わらず雛子さんからメッセージが届いたとの通知が来た。チラッと見たら『ごめん』というスタンプだった。

 雛子さんの席は朝からずっと空いている。社内にはいると思うんだけど……

 数分後、更にメッセージが来た。

『明日休日出勤になっちゃった、詳細は後ほど』

 

 お付き合いを始めて最初の週末、でも仕事なら仕方ないよね。

 日曜日は私の方に予定があるのでデートは見送りか。

 少しだけブルーな気持ちで仕事をこなしてお昼休みを迎える。

 ランチを終えて戻ってきたら着信が入ったため、急いで休憩スペースへと移動した。

「今、大丈夫?」

 やっぱり雛子さんからだ。

「はい」

「時間ないから要件だけ言うね、小春、写真に興味ある?」

「写真、ですか」

「そう、従姉妹がカメラマンでね個展開いてるんだけど、それが明日までなの。仕事が終わったら行こうと思ってるんだけど、良かったら一緒にどうかなと思って。興味なければ面白くないだろうし無理にとは言わないわ」

「行きます! 写真は詳しくはないけど、雛子さんとのデ、あっ、一緒にいられるならどこでも行きたいです」

 危なかった、今は社内だった。誰が聞いてるかわからないから気をつけなきゃ。

「そう? お昼頃までには終わらせるつもりだけど時間が読めないから現地集合がいいかな、後で場所を送るね」

「はい、楽しみにしてます」

「あ、後ね……これも良かったらなんだけど……日曜日は午後からお友達と会うんだよね、だったら明日はうちに泊まる準備してきて」

「あ、はい。承知しました」

 ちょうど主任が近くを通りかかったのもあるけど、照れ臭いのもあって、最後は業務連絡のようになってしまった。


 お泊まり、ってそういうことだよね、期待していいんだよね。

 午後からの業務は、気を抜けば顔がニヤけてしまうので、いつになく集中していたら顔が強張っていたようで。

「山本、お腹でも痛いのか?」

 なんて心配されてしまった。

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