過酷(?)な修行
それが、僕と師匠の出会い。
忌み子である僕が、他の場所で生きていけるとは思えない。
ならば僕は、僕を必要としてくれる人のために生きる。
それがたとえ、魔女の弟子であろうと……。
かくして僕は、森にある魔女の館に暮らすこととなった。
それから、八年……。
「さあ、覚悟はいいローエンス? この間のおさらいよ。今日こそは成功させてみせなさい」
「は、はい! 師匠!」
僕は今日も、師匠と魔法の修行をおこなっている。
僕を救ってくれた、命の恩人である師匠。彼女の恩に報いるためにも、僕は必ず立派な魔法使いになってみせる!
そう決心して、ずっと過酷な修行をしてきた。
そう、過酷な修行を……。
「
瞳に魔力を込める。
すると、見えてくる。通常の目では視認できない世界が。
……見える。見えるぞ!
目の前に立っている師匠の……服の中身が!
「さあ、ローエンス! どう? 私の服が透けて見えるかしら!?」
「み、見えます! 師匠の下着姿が!」
顔を熱くしながら、僕は答える。
僕の視界では、師匠は下着だけを身につけたあられもない姿になっている。
とうぜん、こんな外で服を脱いだわけではない。いつものように綺麗な黒いドレスを着ている。
だが透視魔法を使うことによって、服を着ていても相手の半裸が透けて見えてしまうのだ!
「気を緩めてはいけないわローエンス! 見事この過酷な修行を乗り越えてみなさい!」
「は、はい、師匠!」
過酷な修行。
……過酷な修行かな、これ?
「何をよそ見しているの! しっかりと私を見なさい! じっくりと! 舐め回すように!」
「は、はい! すみません師匠!」
師匠にドヤされ、慌てて透視に集中する。
「ご、ごくり……」
あまりにも刺激的な光景に、思わず喉を鳴らす。
師匠、相変わらずとんでもないスタイルの持ち主だな……。
足は長く、とてもスリムな体型なのに、肉が付くべき場所には、これでもかと豊満な膨らみが育っている。
胸なんて片方だけで頭よりも大きいし、お尻も太ももだってムチムチだ。
お肌もスベスベで、とっても綺麗だ。
出会った頃とまったく変わらない容姿。
魔女は女性として最も美しい瞬間に肉体の時間が止まるらしいから、師匠はその美貌とスタイルを永遠に維持できる。女性にとっては、何とも羨ましいことに違いない。
幼い頃は、師匠の美しさと抜群のスタイルにただドキドキしているだけだったけど……ここ最近はそれだけじゃなくて、何だかムズムズするような変な気持ちになってくる。
「では問題よローエンス。今日の私は何色の下着をつけているでしょ~?」
「あ、赤色です!」
「正解! 素晴らしいわローエンス! 見事に透視魔法を修得したわね!」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃあ、もうワンステップ! 今度は下着が透けて見えるまで透視なさい!」
「ええ~!? そ、そんなことしたら師匠の裸が丸見えですよ!?」
「これも修行よ! あなたが立派な魔法使いになるために必要なことなのよ!」
「ほ、本当ですか?」
「あなたは師匠の言葉が信じられないの!?」
「し、信じます! 恩人の言葉を疑う真似なんてしません!」
「なら、早くなさい! 見て! 私のありのままの姿を!」
「うぅ~……
瞳にさらに魔力を込めて、透視の効果を高める。
すると上下赤色のブラジャーとショーツが見る見るうちに透けていく。
「……ハァ、ハァ」
なぜか師匠は涎を垂らしながら息を荒くしていた。
……本当に、これは立派な魔法使いになるために必要なことなんだろうか?
ええい、疑うんじゃない僕! いまは師匠の言葉を信じて、師匠の裸を見るんだ!
「うおおおおお!!」
眼力を込めて、真っ裸になった師匠を見やる!
……しかし! 大事な部分は謎の光によって隠されていた!
何だアレは!?
「……ふふ♪ 残念ねローエンス? さすがのあなたも私の光魔法を突破することはまだできなかったようね?」
師匠の言う通り、どれだけ魔力を込めても光に遮られた向こう側を見ることはできなかった。
さ、流石は師匠だ。見事な光魔法だ!
「光魔法を突破して透視できないようじゃ、まだまだねローエンス。精進なさい。私の裸体を見たければね」
「は、はぁ……」
そこまでして師匠の裸体を覗き見しようとは思ってないけれど……。
だ、だけど光魔法を突破して透視できるようになれば、確かにそれは凄いことだ。
師匠が言うんだから、きっとこれも意味のある修行なんだ!
「さあ、次よローエンス! 今度は念力魔法よ!」
「は、はい!」
「では、いつものを動かしてごらんなさい!」
「し、失礼します! ……
手を使わず、魔力を操作して特定の物体を動かす修行。
今日も僕は動かす……師匠の、スカートを!
「うおおおお! 捲れろおおおお!!」
「あん。そう、もうちょっとよ? がんばれがんばれ? あと少しで私のパンツが見えるわよ?」
甘ったるい声を出しながら、師匠はニヤニヤしている。
くっ! なかなか捲れない! すごく短いスカートだから捲れやすいはずだが、師匠も同じく念力を使っているから、なかなか動かせない!
まるで腕相撲をやっている気分だ。
「ハァ、ハァ……ローエンスったら、必死に私のスカートを捲ろうとしてる……うふふ♪」
またもや師匠は蕩けた顔を浮かべながら、僕のことをジ~っと見ている。
きっと、師匠として、頑張っている僕を見守ってくれているんだ……。
師匠に拾われ、魔法の修行を開始してから、僕はあらゆる魔法を修得してきた。
……けれど、なぜかどの修行内容も、こんな感じにエッチな内容ばかりなのだ。
八年経った今でも、師匠の意図は正直わからない。
凡人の僕からしたら、ぶっちゃけこんなのくだらない修行でしかないけど……けれど何か深い意味があるに違いないんだ!
僕は、師匠を信じる!
うおおお! 師匠を失望させないためにも、今日は成功させるぞ! スカート捲りを!
「せいやああああああ!!」
「きゃぁん! スカート捲り成功! おめでとうローエンス!」
ヒラヒラとしたミニスカートを念力で捲り上げ、黒タイツに包まれた赤色のショーツを見事垣間見た!
「……」
いや! 本当にこんなことしてて立派な魔法使いになれるんですか師匠!?
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