第5話ある家庭
サンタクロースは自ら白い袋に、子供向けのおもちゃなどを入れて、日赤病院の児童患者にプレゼントを渡すべくタクシーに乗った。
ホントはソリで行きたかったのだが、トナカイの赤鼻がぎっくり腰になり、急きょタクシーに変更したのだ。
小児病棟に向かうと、Jー033を見た子供たちは、群がった。
児童、一人ひとりにプレゼント渡した。
子供たちは、満面の笑み。
満足して、Jー033はホテルまで歩き始めた。
すると、一軒の家から10代であろう、男の子が母親らしき女性を車椅子に乗せて散歩なのか?車椅子を押していた。
Jー033は、日本を知っている。
あの、少年はヤングケアラーだ!
何とかしてやりたい。
せめて、女性が一人で移動出来るようになるようにしたい。
サンタクロースは、弱者の味方。
去年もかわいそうな少年の母親を助けた。
今回も、一肌脱いでやろう。と、考えた。
サンタクロースは医師に変身した。
「そこの君は、今は何をしているのかい?」
「あ、あなたは誰ですか?」
サンタクロースは少年に名刺を渡した。
「お医者さん?」
「そうです」
「普段、母は寝たきりなので、たまには日光浴でもと、思って外に出ました」
「君の名前なんだい?」
「鈴木健一です。16です」
「そうか、健一君。明日、君のお母さんを無料で診療してあげるから、明日の朝10時にここに来てもいいかな?」
「はいっ!ありがとうございます。先生」
「これで、今夜は何か温かいものをお母さんと食べなさい」
と、サンタクロースは健一に封筒を渡した。
サンタクロースはそのまま、タクシーを捕まえて、ホテルに戻った。
健一は封筒の中身を確認すると、5万円入っていた。
さぁ、明日はクリスマス。
奇跡は再び、起きるのか?
健一は出前の天丼を2つ注文して、それから、天ぷらを切り分けて、母の喉に詰まらないように、食事介助をした。
健一は、高校には通っていない。
母の在宅介護で、学校どころじゃないのだ。
明日は、たまたま出会った「三田黒須」という、医師に全てを任せる気持ちでいた。
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