第4話貨物機

サンタクロースJー033は、サンタクロース組合に電話した。

「うちの名古屋便の貨物機がレーダーから消えたのはホントか?」 

「今、お調べしますね」

と、相手の事務員は機械的に話した。数分後。

「Jー033様、貨物機は愛知県と青森県を間違い、八戸空港へ向ってしまいましたので、今夜、陸輸で愛知県に向かいます」 

「手配のミスは、組合のミスだ!予定が狂ったら補償してくれよな!」

「かしこまりました」


「お〜い、赤鼻。今、プレゼントは八戸だとよ!」

「バミューダトライアングルで、消失したから、ベニザケ怪人の仕業かと思ったぜ」

「……べ、ベニザケ怪人?」

「知らなきゃ、いいぜ」


何はともあれ、24日まで2日あったので、無事に名古屋にプレゼントは届いた。

しかし、やけにプレゼントに海産物が多い。

サンタクロース組合は、独り身の30歳以上の男女には塩辛が付くらしい。

「味見」と称し、塩辛で日本酒をサンタクロースと赤鼻は楽しんだ。

いよいよ、仕事が始まる。


ホテルに帰ったJー033は、日赤病院のプレゼントリストを確認した。

赤鼻は、咥えタバコでソリのメンテナンスをするために、ソリを持ち上げた。


グキッ!


「あわわわわ……ぎ、ぎっくり腰!大変だ!旦那に知らせなきゃ!」

赤鼻はスマホで連絡を取りたいのだが、なかなか、体が前に進まない。

3時間かけてスマホにたどり着き、

「だ、旦那!」

「なんだ?」

「ぎっくり腰になりました」 

「……お前、今回も休むのか?」 

「明日、整形外科行ってきやす」 

「使えなかったら、分かって居るだろうな?」

「は、ハイ」

赤鼻は、ホテルにマッサージ師を呼んだ。

そして、整形外科を受診した。

腰の辺りは、冷湿布ばかり貼り付けてJー033 と対面した。

サンタクロースは、

「今回は、お前休んで良いよ。プレゼントの段取りを頑張ったんだから、それなりの給料は渡すから」 

「あ、ありがとうございます」

赤鼻は、目を涙で潤せていた。

明日は、いよいよクリスマス。 

サンタクロースはソリは使わず、タクシーで日赤病院に向かった。

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