第2話

アテドは生まれてからすぐ自分のこれから、人生がわかった

それは人によれば神託ともいえることであったが、アテドは後に絶望した

生まれてすぐ、男とも女とも分からぬ声で

「生まれたか勇者。」

「お主が我を引き抜き相見えるまで楽しみにしている。それまで鍛えておけ。」

そう聞こえた

その記憶があるからこそ、人一倍鍛え頑張った

勇者は魔王を倒さねばならない

どうしたってそれは決まっていた

それが成長したアテドには苦しかった

倒すということは魔王を殺さねばならない

魔王という“悪”の象徴とされ倒さないと世界が混沌とし絶滅されられることになってはたまらない

“倒す”ことに抵抗があっても口に出さないで誰にもいえず、それしか道がないことを教えられているからこそ悩んだ

アテドはもしかしたら自分は勇者にならないかもしれないと間違っているかもしてないとずっと考えながら過ごしていた

だが、間違いでもなくアテドは勇者になる



アテドはあの生まれた時に聞いた声が突然聞こえた

「大きく、強く育っているな。」

「そろそろ迎えに行こう。勇者の所から近くの森に行こう、明日にはそこにおる。準備など要らぬから早く会いに来てくれ。」

そう聞こえた、聞こえてしまった

ありがたいお声であるはずのそれがアテドには恐ろしかった

どうあっても足掻くことの出来ないことで逃れることなど許されず、運命を受け入れることしかないと突きつけられてしまった

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勇者が“選ぶ”のか“選ばれるのか” 抹茶葉 @matchba

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