44. 男の運命は決された


 バルセルゲン・ハドロニアの生まれは、決して裕福ではなかった。父親が農夫だったため、歩けるようになるとすぐに家の手伝いを任されるほどである。上には姉が、下には妹の居る家庭だった。


 バルセルゲン、などという大仰な名は、本来平民の子供に付けるようなものではない。その昔神官から「男児生まれしとき、相応しき名を」とだけ託宣があったというが、それを信じた祖父から付けられた。母方の実家に男児が一人も生まれなかったので、孫に付けたというわけだ。

 幼少の頃は名前について随分とからかわれたものだが、その後武功をあげ貴族の仲間入りを果たすとき、不思議と役立った。が、その程度のものである。


 託宣というものが何故このようなささやかな出来事に宛てられたのか、一介の平民にはわかりようもない。


 幼き日々は忙しさの中過ぎ去って行った。父だけでは手が回らず、母まで力仕事をしなければならない。家の中で男児は自分だけだと言う自覚から、バルセルゲンはこっそり体を鍛え始めた。


 けれど勿論、ただ筋力を付けただけでは終わらない。どんな家に生まれても、男たちの大半は剣を持つことに憧れるものだった。例にもれずバルセルゲンも、いずれは傭兵として立つことに憧れを抱き、武器の扱いに興味を持った。

幸運なことに、素質はあったのだろう。木製ではあるが、剣の扱いならば年上の子供どころか大人にも引けを取らなかった。


 この頃になると、自分よりも強い相手との打ち合いを、子供も大人も嫌がった。仕方がないのでバルセルゲン少年は、家の手伝いを終わらせてから一人で自主的な訓練を積む。

そうしていると、「近くに住んでいる」という少年が、いつの間にか加わるようになった。やがて打ち解け、木製の剣を鍔迫り合い、互いに技術を磨く。戯れのようで時々本気を出し、自作の剣はよく折れた。


 相手は、バゲルと言う名の少年である。いつも身綺麗な恰好をして、木製の剣ですら凝っていた。流石に自作ではないようだが、装飾まで繊細に彫り込まれており、中々洒落ている。

 文字の読み書きを自然と行う姿を見れば、世事に疎いバルセルゲンでも「バゲルは貴族籍の子供」だとわかった。


 身分差については、互いに見ないことにした。彼らは得難い友を、手離す気がなかったのである。


 そのうちバゲル少年は、バルセルゲンの家にも顔を出すようになった。何気なく持参する土産が大変にありがたく、家族はそれがなくとも大歓迎だった。何故なら他にあまり交友を広げられない息子が、完全に心を開いているからだ。

ただ厄介なことに、バゲルはバルセルゲンの姉に恋をし、妹はバゲルに恋をした。姉は別の男に惚れ込んでいて、どこを見ても一方通行である。この頃のバルセルゲンは、色恋について「なんだか面倒な出来事」だと信じて疑わなかった。


『なぁ、バセ』

『なんだ?』

『騎士になりたくはないか?』


 稼げるのなら何だって良い。ならばバルセルゲンは、憧れを追ってみたくなった。まさか傭兵ではなく騎士を目指すなど思ってもみなかったが、もたらされた幸運は手に掴む主義である。

バルセルゲンはすぐに騎士付きの従者として送り出された。


 家族と離れるのは正直寂しさがあった。けれど農地を維持するのには金が要る。その年は長雨による被害で作物の育ちも悪く、父の途方に暮れる姿を見て決断した。

二つ年下のバゲルも少し遅れて合流したので、寂しさはあっという間になくなった。


 同じ年頃の中でならば、バルセルゲンとバゲルは特に抜きん出ていた。教え甲斐があると様々な手解きを受け、研鑽を積み、高い給金を得る。こんなに楽しくて素晴らしい日々でありながら、家への仕送りも充分に出来る。この幸福と、きっかけを与えてくれた友には感謝と尊敬が止まなかった。

 バルセルゲンは、実戦においても訓練においても、バゲルに負けたことは一度も無い。バゲルは心底悔しそうにしながらも、手を抜かれることを望まなかったのだ。


 歯を食いしばって、決して腐らず、腕を磨いて着実に成長する姿はバルセルゲンにも多大な影響を与えた。怠けず、驕らず、立派な人間になろうと努められたのは、バゲルの存在があったからである。


 やがてバルセルゲンには、「足りないもの」が見え始めた。平民が騎士になれない理由、一番の壁。高額の資金が必要であるという現実。

当然実家で用立てることは出来ない。こういった理由から、バルセルゲンよりも先にバゲルが騎士になった。といっても位はまだ従騎士であり、正式な騎士ではないのだが。


 さて、資金とは言うが、何も理不尽な上納金が求められるわけではない。鎧などの装備から始まり、武器や防具は王宮の費用として計上され、支給されるので問題はなかった。従騎士を始め、準騎士や騎士になるための試験でも、大抵の装備品は貸出されるものだ。


 では、何に使うのか。宿舎に入るための費用である。勿論屋敷などから通う者もいるが、そんなのは決まって雲の上の存在だ。

勤め始めれば給金から出せるだろうが、入る前に先払いの決まりである。


 バルセルゲンは、稼ぎさえすれば道が開けるということをわかっていた。その遠回りを、障害だとは思わなかった。


 それまでの給金は大半を仕送りに充てていたため、まとまった資金を一気に稼ぐ必要がある。騎士付きの従者から騎士見習いになっていたバルセルゲンだったが、その給金では足りないと判断した。なので当初目標としていた傭兵になることを決め、そこから準騎士を目指す道を選んだのである。


 一方、バゲルは早くから頭角を現し、数年も経てば準騎士になることが見込まれていた。バルセルゲンは当然の活躍だと頷き、心から喜んだものだ。


 早く対等になりたいという思いもあり、傭兵となったバルセルゲンは魔獣の討伐によく励んだ。警護や警備より危険だが、実績として大きいからである。

しかし「資金を貯めること」が目的だったので、装備に充分な費用を割かなかった。小さなものではあったが、怪我が絶えなかったのである。


 守りが薄いのであればそれなりの戦い方もあるだろう。戦術を模索し、思案する時間すらバルセルゲンは存分に楽しんだ。

どんな魔物が来ても最早臆することはない。実際どんなものにも打ち勝てた。定期的に神官から測られる戦闘階級も面白いぐらいに上がって行き、関係者を驚かせ続ける。


『お前には敵わないな』


 バゲルが少々苦い顔で、しかし笑い飛ばした。バルセルゲンも、バゲルの「騎士としての優れた姿」を幾度も見て来た。互いに良き好敵手として意識し合うようになったのは、この頃からである。


 バルセルゲンは当時、戦闘に様々な武器を用いて臨んだ。途中で折れないものを。壊れたとしてもそのまま戦えるものを。手に馴染むものを。

重さ、長さ、形。戦いの場ではいつも違ったものを手に取る。勿論安物なのだが、安物故にすぐに壊れ、使い物にならない。結果として丸腰や素手の戦法を確立出来たので、特に不便とも思わなかった。


 戦闘に武器、友と家族、騎士や傭兵で構成されていた、それまでの人生。


 そんな中に突然、その女性は現れた。


 バルセルゲンから見れば、美しさや妖艶さ、華やかさを持った人ではなかった。素朴で、けれど笑えば花が綻ぶように輝く人だった。


 バゲルには大層笑われたものだ。「お前にも花を愛でる心などあったのか」と。街で「騎士様~」などと可愛らしい女性に囲まれ、柄にもなく慌てていたことを姉と妹に告げ口してやろうか、などとこの時ばかりは思った。


 バルセルゲンの惚れた女性は、家族の都合で移り住んで来たらしい。素晴らしい。よくぞこの場所へ。バルセルゲンは彼女が微笑む度に舞い上がり、どうにか気を引きたくて花を贈った。花が好きだと聞いたので、花畑に何度も連れ出した。


 そしてバルセルゲンは、花の美しさを知る。元々興味などなかったが、一つ一つに名前があり、花言葉なるものが付いているのだと教わった。


『あれはどんな言葉を語るのだ。この花は、なんと言っている?』


 質問し過ぎて笑われた。そんなに興味を持ってくれるなんて嬉しいと。バルセルゲンはそんな笑顔が特に好きだと思った。 

やがて親交を深め、休みの日は必ず会いに行く。バゲルに倣って土産を持ち、厳しく睨む彼女の父親から、何とか許可をもらって連れ出した。


 「アナタを愛している」と語る花の前まで、手を引いて導く。運命という言葉に縋りたくなったのは、彼女が居たからだろう。

手を繋いでいること自体が言い表せない程の幸運で、奇跡的で、バルセルゲンの心は喜びに満ち溢れていた。


『貴女が私のもとへ現れてくれたことを、感謝する』


 震える声で告げた言葉に、微笑んだ彼女の顔を、バルセルゲンは生涯忘れないだろう。目元に浮かんでいた涙を拭って、幸せにすると誓った。彼女がくれたものを返すのだ。必ず出来ると信じていた。


 喜びが過ぎても人間とは泣きたくなるものだ。その日初めてバルセルゲンは思い知った。無様な姿を見せられないと、なんとか笑ってみせたのだが。目頭は熱く、鼻がジンジンと痛んでいた。情けない顔をしていなかっただろうか、と不安で寝つきが悪くなった。


 結婚のときは、やはり彼女の父親に睨まれた。対して母親には、こんなに素晴らしい人は他に居ないと褒めそやされ、彼女の自慢気な顔を見ることが出来た。両親の前ではほんの少し子供らしい姿を見せるのだな、と素晴らしい発見をしたものだ。


 しかし息子が生まれた時ばかりは我慢が出来なかった。彼女を抱きしめても、バルセルゲンの涙は抑えられなかった。こんなに愛おしいものが、この世にあるだろうか? 小さな手の、なんと愛らしいことか! 彼女の瞳の色、バルセルゲンの髪色。二人の子供である証があまりにも嬉しくて、バルセルゲンは仕事があるとき以外母子から離れなかった。


 余談だが、バルセルゲンの姉は結局、バルセルゲンの知らぬ男と結婚していた。バゲルと妹はどうなるのだろうと、妻となった女性と密かに話したこともある。



 満ち足りた日々の中。それは唐突に起きた。


 バルセルゲンの住む町を、流行り病が襲ったのだ。バルセルゲンの母が死に、父が後を追う。姉は伴侶を亡くし、妹もまた、倒れた。


 バゲルが妹の手を握りしめ「結婚してくれないか」と告げたときにはもう、妹は旅立った後だった。用意されていた贈り物は、ついに渡されることなく床を転げる。最初こそ姉の方に懸想していたものだが、いつの間にかバゲルは妹の方と恋仲になっていたようだ。


 失意の中、バゲルは語った。


『もしも本当に、この世に天使が居るのなら。彼女に宛てた伝言を頼みたい』


 天使は「死者の魂と会話が出来る」という伝説がある。そこから得た発想なのだろう。バゲルはそれから「天使」に傾倒し、渇望するようになる。それは病的なまでに。


 バルセルゲンの心配事は、バゲルのことだけではなかった。妻の身体に宿っていた新しい命は死産という結果を迎え、いつの間にか病に侵されていた妻は深く眠り、二度と目を開かなかった。


『何故』


 バルセルゲンはひたすら腕を磨いた。家族のために。守るため、暮らしていくため、彼女の微笑みが曇らないように武器を振るって来た。


(何も守れないではないか)


 やるせなさが虚無感と共に押し寄せる。何も出来なくなった。抜け殻のように体が動かない。



 そんな折、現れたのが上級の魔物だった。その大型の魔物は、町へ病をばら撒いたのだと大きく笑う。


 だからバルセルゲンは怒りに任せて武器を揮った。妻を失った途端、戦いに向かう最良の武器が降って湧いたかのように現れる。手に馴染んだそれは、槍だった。


『ハドロンの槍』


 バルセルゲンはいつしかそう呼ばれるようになった。名は広く知れ渡り、讃えられる。


(だからなんだというのだ)


 最愛の人を失ったのに。




『おとーさん』



 バルセルゲンを正気に戻したのは、まだ小さな男の子だった。妻と悩み、名前を付けた我が子。


 ラヴァヌ。


(そうだ、私にはまだこの子がいる)


 “魔に魅入られた存在”だと発覚したのは、いつだっただろう。悪魔が振り撒いた病に侵されなかったのは、そのためだと神官は言った。

本来忌み嫌われるような性質だというが、バルセルゲンにとっては「この子が生きてさえいれば良い」という心地だった。


 力と名誉のなんと虚しいことか。妻は永遠に微笑むことはないが、息子には面影があった。失いたくない。失くしたくはない。


 こうして過ごした姉と息子の、三人での暮らしはとても短いものだった。失意の中掴んだ希望は、儚いものだ。仕事を終え家に戻ると、姉と息子の姿はなかった。


(また失うのか)


 バルセルゲンも、そしてバゲルもそのことに怯えながら痕跡を追った。姉は無残な姿で見つかり、ついにバゲルの言動はバルセルゲンの理解が及ばぬものへと変質していく。


 瀕死の状態だったラヴァヌを、その後バルセルゲンは一人で見つけた。バゲルは死んだと思っているだろうが、彼は最早近寄りがたく、バルセルゲンからは何も言えなかった。

かつて腕を競い合い好敵手であった友は、妄執に囚われ見る影もない。バルセルゲンには戸惑いと、恐れしか残されていなかった。息子を腕に抱え、無力感に打ちひしがれる。


『生かしたいかね』


 勿論だ。この子が生きてさえ、いれば良い。


 バルセルゲンは強い想いに囚われていた。だからこそ囁きを跳ね返すことが出来ず、あのような結果になったのだ。

腕の中のラヴァヌは弱っている。研究員を名乗る妙な男からの問いかけに、是と答える以外にない。助かるなら。


『なんだっていい』


 生きてさえいれば。



 命を繋ぎ留める行為が“禁忌”と呼ばれるその意味を、バルセルゲンは理解していなかった。牢へ押し込まれてしばらくして、過ちを悟る。

耳にこだまするのは息子の泣き声だ。ああ、やめてくれ。やめてくれ。



「生きていれば良いのだろう?」



 ラヴァヌは死ななかった。

生死をさ迷う体へ魔核が押し込まれ、最早人ではなくなったからだ。魔核がなければもう生きられないという。取り除けば死ぬのだと言う。


 あれでも、生きているなどと言えるのだろうか。


 けれどバルセルゲンは研究員を糾弾することは出来なかった。望んだ結果が、ああだったのだと。罪は自分にあるのだとわかっていたのだ。

しかし死にゆく我が子を目の前にして、何もしないという選択は出来ない。何度やり直しても、バルセルゲンは同じことを選び取ったはずだ。


 甘んじて牢の中で過ごすバルセルゲンの下へ、バゲルが現れた。嘘を含まれた男の姿に、叫び声を上げたくなった。


『何故邪魔をする』


 憎しみの目を向けられ、バゲルは「実験の本質」が何であるかを知らされていないのだと悟った。厳しい監視の目を潜り抜け、バルセルゲンは情報収集に終始する。“魔人”にされたのは自身のせいだが、その後の実験は容認出来るものではない。これ以上の痛みを与えるなど、バルセルゲンの望みからはほど遠かった。


 確実に、慎重に。自由にするために長い年月を費やす。バゲルには何も言えなかった。


 バルセルゲンには、生きる気力をギリギリのところで保っている友を、見限ることは出来なかった。何せあれは自身の姿だ。父と母と姉と妹、そして妻。最後に残された息子を取り上げられれば、バルセルゲンはバゲルと同じ姿になるだろう。

牢を隔てて見る景色が、こちらだったかあちらだったかの違いだ。


 だからラヴァヌを選ぶことも、バゲルを選ぶことも出来なかった。失うことは、恐ろしい。


『人族ごときが』


 これは罰だと思った。

ラヴァヌがバルセルゲンへ向け魔法を放ち、攻撃を仕掛ける。父親のことなどわからない様子で、別の名を語った息子。傍で見守れなかった成長を惜しく思う。大きくなった。食事は与えられていたのか肉付きは悪くない。元気そうに動いている。歩いている。走っている。叫んでいる。ああ。


 バルセルゲンは、安堵した。安堵して、しまった。


(あの子は生きている)


 全身を走ったのは喜びだった。何という親なのだと自身を罵る。けれど人でなくなった息子を見て、確かに得たのが喜びだったのだ。苦痛を強いられ身を焼かれた息子に、その機会を与えた父親が。


 死んでしまえば何もない。何も、ないのだ。


(私にはお前が居る)


 ラヴァヌ。あの子さえ居れば良い。どんな姿に成り果てようともそれは変わらない。愛おしい。大好きな妻が置いて行った宝だ。

忠誠を誓った王も国も、敵に回したって良い。構わない。何だって切り捨てて、あの子を守って見せる。


(お前は愛されるために産まれて来たのだ)


 妻とバルセルゲンの下へ、祝福を受けながら舞い降りたよろこびだ。ラヴァヌが生きるためならば何だってしよう。何だって、出来るだろう。


 ラヴァヌ。


 妻がバルセルゲンに残した唯一の生きる糧。だからお前は、お前だけは、死なせない。




◇◆◇◆◇




 「南西地区カレディナ監獄塔・襲撃事件」について、報告書は以下のように記されている。


―――――――――――


憲兵隊騎士、以下四名死亡

 ××××・×××××× 騎士 戦闘階級:三級

 ×××・×××××  騎士  戦闘階級:三級

 ×××××・×××  騎士  戦闘階級:三級

 ××・×××××××  騎士  戦闘階級:三級


 告発により、上記四名が××××(判読不能)実験を知りながら報告義務を果たさず、また実験側として参加していたと判明。

詳細は現在捜査中。××××実験・被検体の暴走。魔物による中央塔襲撃との因果関係は不明。

また、四名以外の死亡者なし。


 負傷者

  傭兵…二十八名 戦闘階級いずれも二級以下。

  収監された囚人…なし


 これを受け騎士及び兵士の採用階級引き上げを検討、審議会が開かれる予定である。


―――――――――――


 極秘で収容していた堕天使・カレディナの脱走を確認。

所在は不明。死亡との報告も、確認出来ず。行方を追えとの命令が下る。


 瘴気を纏った異物を発見、拘束。“穢れ”、怪物と呼称。

「聖魔塔」は新たにこれを収容する決定がなされた。極秘事項。通知不可のこと。


 実験首謀者、“研究員”なる男は現在行方不明。元騎士の学者を装っていたが、××××・×××は謎の事故により死去していたことが確認済みである。

以上から事故と男の関連を視野に入れ、危険人物に指定。精鋭を投入し所在を追う。


 塔の管理責任者でありながら事態を収束出来なかったバゲル騎士は降格処分とし、異例ではあるが新たにバルセルゲン・ハドロニアを再び憲兵隊騎士・監獄塔責任者として任命。バゲル騎士を副官とする。


 周辺の一部住民が騎士による不当な拘束を訴えていたものの、調査による確認は取れず。

名簿の人物は漏れなく「事実ではない」と否定。

新たに就任したバルセルゲン騎士を庇う行為だという声もあるが、証拠がないため調査は終了。


――――――――――



 襲撃時、魔物三体が確認された。内いずれかが被検体であると見られる。


 魔獣の背に人間が乗っていたという目撃情報あり。

これを召喚士と見て捜索。王城へ招集しろとの王命である。



―――――――――――


 最後に、被検体・魔人という生物について密命が下る。

命令は以下に記載。



“バルセルゲン・ハドロニア騎士長男、

  ラヴァヌ・ハドロニアを騙る魔物の存在有り。




 ―――見つけ次第、処刑せよ。”





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