第11話
「———それにしても強くなったなぁ……精霊王に振り回されてた頃とは雲泥の差だな」
「一体何時の話をしているのよ、400年もあれば私も強くなるに決まってるじゃない。まぁレオンは400年も会いに来てくれない薄情者だったみたいだけど」
「悪かったって、ほんとに」
反省してんだからそんな言わなくても……。
まだ怒っているらしい眉間に軽く皺を寄せたレティシアに謝る。
ただ今回に関しては完全に此方が悪いので何も言い返すことが出来ず……俺には謝るしか方法はなかった。
そんな俺を下から眺めるレティシアは、仕方ないとばかりに小さくため息を吐く。
「———レティシア様、これは一体どういうことなのですか!?」
マクシミリアンが、族長であるレティシアが突然現れた人間に抱き着くと言う光景を眼前に、この場の俺達以外の意見を代弁するかの様に吼えた。
「それにレティシア様ともあろう御方が人間と知り合いなのは目を瞑るとしたとしても……何故腕まで組んでいらっしゃるのですか!!」
「細かいことは気にすんな、坊や」
「そうよ、マクシミリアン。説明もするから落ち着いて」
レティシアはそう言うと、パチンッと指を鳴らす。
それと同時に、俺達人間側全員とレティシア、マクシミリアン達連れて来たエルフ達の身体が浮く。
「な、何だぁ!? おい、どうなってんだよこれ!?」
「物凄い不思議な感覚ですね、センセ」
「……ん、これで食べ物口に運びたい」
「な、何て無駄な魔法の使い道なんだ……」
「……これは浮遊魔法の応用……? ですがそうだと全ての魔法を制御しなければならないはず……」
俺の生徒達は、突然自らの身体が浮いたことに驚く者、ズレた回答をする者、本気で魔法を分析する者など様々であった。
そしてこの中で1番魔法に理解の深いユミルは、誰よりもこの魔法の凄まじさを感じ取っている様で、口を半開きにして驚いている。
「す、凄すぎます……これ程高度な魔法を詠唱も無しに……私には絶対出来ませんよ……」
「当たり前じゃない。貴女がレオンの何なのか知らないけれど……レオンの隣は譲らないわよ」
「えぇっ!?」
「何言ってんだレティシア」
「痛っ……」
俺の腕を抱いてユミルに威嚇するレティシアの頭を小突くと、腕を抱いていない方の手で頭をさする。
「な、何するのよ……」
「お前が変な事言うからだろ。ほら、俺も手伝ってやるから何処行くか教えてくれ」
「そんなあっさり……ま、まぁ許してあげるわ、ついてきて」
レティシアからレイナ達生徒とユミルを浮遊させる魔法の支配権を取る。
あっさりと自分の魔法を横取りされた事に少し驚いた様子のレティシアだったが……何故か少し嬉しそうに進み出した。
俺はそんなレティシアに首を傾げながらも、楽しげだしいっか、と考えるのを止めてついていった。
「———レオンは、私の師匠で第二の親……叔父さんみたいモノね」
「まあ数年くらいは一緒に旅したしな」
場所は変わってレティシアの家兼巨大な世界樹の子樹の幹の中。
そこで俺達は、世界樹が作ってくれた椅子に座って話をしていた。
「レティシア様、何故世界樹の中に人間を……と言うか何故そこの男はこれ程までに世界樹に好かれているのですか!?」
「え?」
マクシミリアンは、俺の周りに群がる世界樹のツルを指さしながら叫ぶ。
突然指を差された俺とツルは動きを止めてキョトンとしてしまう。
「いや『え?』じゃない!! 何故貴様———痛っ!?」
「無礼よマクシミリアン。私の師匠で世界を救った勇者に頭が高いわよ」
「レティシア様!? 普段のお淑やかで優しいレティシア様は何処に!?」
「レオンの前でするのは……少し恥ずかしいわ……」
「んなぁ!?」
レティシアが少し頬を染めて恥ずかしがると、マクシミリアンが驚愕の表情で固まる。
その様子から、どうやらレティシアは普段から猫被って接していたらしい。
「え、俺は見たいんだけど」
「絶対嫌。レオンには本当の私を見てほしいもの」
「そうなのか? まぁ嫌なら別に良いんだが……」
「———あ、あの……お2人は元恋人、とかではなのですか……?」
レイナが恐る恐ると言った感じで尋ねる。
ただ普段はクールなレイナだが、彼女も思春期らしく……興味深々様であった。
しかしレイナだけじゃなく、ユミルやマーガレット、メイなどの女性陣は同じく興味があるらしい。
そんな4人には悪いが———。
「俺達は恋人じゃないぞ」
「ええ、恋人じゃないわ。ただ———れ、レオンが……こ、恋人になって欲しいと言うなら……なってあげるのもやぶさかではないわ」
そう言ってチラチラと俺を見るレティシア。
…………。
「ん?」
「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」
「な、何?」
皆が驚いた様にレティシアを見た。
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