最期の手紙

【こんにちは。今ぼくはお手紙を書いています。戸塚ひろみ。128です。いつか忘れちゃったけど昔あった怖かったことを書きます】


拝啓

 昔ぼくは電車に乗っていました。人がいっぱい乗っててぎゅうぎゅうで苦しかったです。お外はオレンジいろに染まっていて、ときどき大きなビルが太陽さんの光を隠しました。


「んー!痛い!そんなに押さないで!」


ぼくが大きな声で前にいるおじさんに言いました。

そしたら周りのみんなが笑ってきました。ぼくはふざけてなかったのに笑われたのでイライラしました。


「なんで笑うの!ぼくはふざけてないよ!」


また大きな声で言いました。そしたらみんな笑っていたのに、だんだんと怖い目でぼくのことを見てきました。


少ししたら大きい男の人が包丁をぼくの前にいたおじさんのお腹に刺していました。

おじさんはいたそうでした。なのにぼくに助けを求めないでまた怖い目で見てきました。大きい男の人は周りのみんなをいっぱい刺していました。なのにぼくは刺されないで赤い絵の具をかけられただけでした。


「なん..で..」


刺された人が悲しい顔でぼくを見てきたので、ぼくは助けを呼びました。でも駅員さんは大きな男の人と勘違いしたのかぼくを殴りました。

怖かったです。

そこからぼくはずっとお母さんに会えない日が今も続いています。だからお母さん、お返事をちょうだい。                         

                                  敬具



「おい128番。出ろ」

「あ!お兄ちゃん!今日はなんのお菓子くれるの?」

「いや、良いから私についてきなさい」

「あれ?お兄ちゃんたちがいっぱい並んでる!」

「最後のお菓子だ。味わって食べなさい」


大きな男は美味しそうにチョコレートとクッキーを食べた。

まるで無邪気な子供のように。


少ししたら何かが勢い良く開く音と縄が軋む音が静かな部屋の中に響いた。

                                     完



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