2023-12-21魔法を使ってみよう
十二月二十一日
ふとした拍子に異世界に来てしまった俺だが、この世界にはどうやら魔法が存在するらしい。エルフのフィ姉さんが検査したところによると、地球から来た人間の俺にも魔法を使う素養が少しはあるらしい。
ただ、魔法の訓練を生まれてから一度もしたことがないので、魔法の動力源になる体内の魔力の量が赤子並みなのだとか。
フィ姉さんいわく
「今の君ではマグロにも勝てない」
らしい。
人間以外の生物も無意識に魔法を使っている。マグロなどは常に微弱な魔法を使うことで、眠りながらも泳ぎ続けることができる生物として有名なのだそうだ。当然、食べると肉に浸みこんだ魔力で舌がひりひりする。それは本当にマグロなのか?
とにかく、マグロを調理して美味しくいただくため、俺は魔法の練習をしていた。
練習用のつまようじ大の杖を折ることで、最も簡単に魔法を行使することができる。消耗品なので、先週に大量に買い込んでいた。
最近は火をつける魔法に成功したところで、マッチの火と同じくらいの火球を作り出せる。じゃあ、マッチを使えばいいじゃんって話もある。
今日は実戦練習の日ということになっている。なぜなら、週に一度のフィ姉さんが町におりて資材を買い込む日なのだ。
それに、身体強化魔法を使ってついていくのが今日の目標だ。自力で身体強化魔法が使えなければ、フィ姉さんが魔法の行使という名目で、杖で殴ってくる。杖は殴るのが一番魔法の効率がいいらしい。
「要するに、山を下りるなら足だけ強化すればいいんでしょ」
という安直な思考のもとに足だけに強化魔法をかけることに成功した俺は、次の日上半身だけの筋肉痛に苦しめられることになる。
山下りというのは全身運動なのだ。
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