13-2.決戦 朱雀会



 床が、冷たい。




「ま、雑魚にしては、がんばった方なんじゃないの?」



 身体全身が痛い。そして熱い。


 まるで自分のものじゃなくなったみたいに動かせない。



「もう立てないかしら?」



「......その顔、ずいぶん楽しそうだね」



「あらぁ、わかるかしら? 私、一方的になぶるの、大好きですの」



 ......ドSが。


 でももうダメそうだ。反撃どころか、反論する力さえもう残っていない。



「さあ、認めなさい。負けを」



 顔に不死川のくつが乗る。


 恍惚こうこつそうな表情。


 まるで床に転がるゴミみたいな扱いだ。



 だが、



「断る」



「......ちっ! しぶといわね。そういう男は嫌いよ。あーあ。なんかもう飽きちゃったー」



 冷たい表情に変わった不死川が黒服の一人から何かを受け取る。



 床に叩きつけられた『それ』は、恐怖をかきき立てる甲高い鋭い音で鳴いた。



 むちだ。



「あなたひょっとして、自分は殺されないって思ってる? 苦痛に耐えればいつか解放されるなんて思ってないでしょうね? それなら勘違いよ。あなた程度、いつでも殺せる



 不死川が鞭を引っ張って再び床に叩きつける。


 どうやらここまでみたいだ。



「死になさい」



 冷たい声。恐怖のあまり、思わず目を固く閉じる。



 .........あ、れ?



 いくら経っても想像していた痛みが襲ってこない。



 恐る恐る、目を開ける。




「よー。こんなとこでなにしてんだ、バカヤロー......」



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