12.ケジメ





「短い間でしたが、本当にお世話になりました」



 すずめさえずる、心地よい早朝。




「本当に、行くのかい?」



「辰さん......はい。ケジメ、付けて来ます」



「.........そうか」



「止めますか?」



「バカ言うな。そんな顔したやつを誰が止めるってんだ」



「ありがとうございます。本当にみなさんには......お世話になりました」



「へっ! しけた顔すんな。結局......お嬢は来てくれなかったか」



「いいんです」



「......また、いつでも来いよ。お前はオレ達の......竜鳴会の兄弟だ」



「はい。ケジメ、ちゃんと付けて来ます」



 ケジメ。



 自分と。親父の借金と。そして、朱雀会と。



 辰さんに背を向け龍鳴会の門を後にした。

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