5-1.龍鳴会の晩ごはん



 昔、道路に飛び出して軽トラックに轢かれたことがある。



「どぉおおりゃああああっ! ど、退いてくれぇえええっ!」



「え?」



 会長の部屋を出た直後、廊下を走ってきた体格のいい組員の人と衝突。



 瞬間、頭によぎったのはその時の記憶。確か、小学校1年の時だったかなぁーー



「いたたっ!」



 軽く宙を舞った身体は頭を思い切り廊下に打ち付けて着地した。



「ああっ! お嬢のご友人! す、すんません! 前を見てなかったもんですから!」



「や、自分もすいません。ぼさっと歩いてたので......ん?」



 床についていた手に何かが当たる。



「トマト?」



 見ると廊下にはジャガイモやニンジンといった野菜や、りんごなども転がっていた。



「あわわっ! 今日の晩ごはんの食材が!」



 慌てた様子でぶちまけた食材を拾う組員さんに習って自分も野菜を拾う。



「晩ごはん、ひょっとしてカレー......ですか?」



 聞くと野菜を拾う組員さんの目が鋭くなった。



「え? え? え? なんですか?」



 無言で近寄ってきた組員さんに肩を掴まれる。



「ご友人」



「は、はい!」



 強面で睨む組員さん。


 肩を掴む力がどんどん強くなっていく。


 こ、怖い。怖すぎる。



「料理、できますか?」



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