閑話 とあるダンジョンマスターの独り言

「いやいや〜毎度毎度アイツどうなってのじゃ〜」



ダンジョンの入口の所で今さっきおきた出来事をモニター越しに見て妾は呆然としていた。


凄腕の冒険者数人で掛からないと倒せないとされてる魔物を素手やクワで倒している農夫らしき男が映りだされていた。



「勇者やどこぞの賢者にやられるならまだしもクワで倒されるような軟弱な魔物ではないんじゃが…」


妾は龍王ヴァースキ、今はとあるダンジョンのダンジョンマスターをしている。


妾はずっと前より気楽にのほほんと過ごしていたのじゃが数百年前に寝床にしようとしていたのじゃがそこは実はダンジョンで睡眠の邪魔をされたので気まぐれにそこを乗っ取ったことでダンジョンマスターになった。

暫くはすやすや寝ていたのじゃが、数十年前に妾の根城の上に屋敷を作った不届き者がおりちょっと暇だったのでちょっかいをかけてやろうと思い定期的に魔物を送り出してきた。 

最初の頃は人間どもも苦労しているようでいい感じの勝負をしておりいい暇つぶしになっていた。

何不自由なく楽しくもうちょい本気を出してついでにこの国をサクッと妾のものにしてやろうかと考えていたんじゃが、少し前にこのモニターに映っている農夫のせいで全てが変わった。 


『あっ!また害虫がいるじゃん、もうやめてほしいよねっ!』


此奴をなんとかせねばならないのは知っているのじゃが、この男色々と規格外過ぎる。


まず、この男は毒・麻痺・眠り・呪い・幻覚等の状態異常が効かない、そして、どんな魔法を浴びせてもケロッとしている。


「しかもどんな魔物の爪や牙も歯が通らないってもはや此奴は人間なのか……?」



『さて〜家庭菜園だ〜』


妾が悩んでいる間にも此奴は農業をやろうとしてる。


――仮にも龍王が管理していることが分からないにしろダンジョンの前でのうのうと今も土いじりに専念するこやつの頭がおかしいんじゃなかろうか。



『このイモいい感じに育ってな〜…おぉ〜こっちのやつも収穫時だな。今夜もいい飯を作れそうだ』


ニコニコして農作業に打ち込んでいるこやつに腹が立ってきた。


「次回は妾も出向かないとだめかの〜」










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