大人の時間の片隅で【140字小説集】

スエテナター

第1話 吸い殻

揉み消したはずの吸い殻を、もう一度拾い上げて咥えている。自ら望んで咥えたものなのに、やっぱり吸い終わったものは不味いなと笑う。前歯で軽く噛みながら、意味もなく弄んでいる。そんなに不味いのなら捨ててしまえばいい。口直しなら、私が手を貸す。甘い匂いと苦み走った刺激。狭い部屋の片隅で。

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