第8話「時を超え」

人が生きる世界とは

人が願う世界と同じではない

喪失を抱えて

無念に打たれ

ただ垣間見える一生と

その先の死


全ての間では足りないほど

僕らは生きる中で飢えている

だから死が悲しい

あまりにも足りないのだ


この一生を

例え自分だけの為に注いでも

きっと足りない


だからこの今は貴重で

寝る事さえ億劫だ

私もまたその一人


時を失うことが怖いのだ


それでも時間は進む

でも生きた今日までが消えることはない

確かに歩んだ時間として思い出に残っている


だから喪失ではない

いつかの糧なのだ


今日はどうだろうか

明日はどうしようか

そんな事を思い


生きていこう


共に生きよう


やがて死ぬ定めでも

それは喪失ではないのだと


そう、今、知れたのだから

もう、怯えずに生きていこう


死してなおも

人は歩める

そう、心を授かったのだから


そうあれるのだから。

ただ今は、この時間に

この一生に


愛をこめて

花束を添えて


歩き出そう。


時はやがて思いに代わる、

そうなのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る