第3話
「疲れた…もう17時か…とりあえずタバコ行こ。」
講義の合間に10分休憩があったが眠過ぎて動けず、結局1回も喫煙所に行けなかった。
喫煙所へと続いている廊下を歩いていると、喫煙所に人がいるのが見えた。
私は思わず足を止めてしまった。
別になんてことない、喫煙者がタバコを吸っている、それだけなのに。
何故か目が離せなかった。
誰もいない喫煙所で1人、イヤホンをつけながらタバコを吸っているスーツの男性。
「素敵だ」
遠目から見ただけなのにそう思った。
動けずにその男性を見ていると目が合ってしまった。
私は気まずくなって逃げるようにその場を去った。
自分の部屋まで来て、タバコを吸いに行くために喫煙所に行ったのに戻ってきてしまったことを思い出し、もう一度喫煙所に行くとさっきいた男性はもういなかった。
一瞬まだいるんじゃないかと期待した分、少し落ち込んだ。
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