第222話 師匠と母親②
俺達はぽつぽつと話をしながら歩く、そうすると話題は自然とグオリエのことに移った。。
「グオリエは、これからどうなるかな?」
「普通に考えれば、どこかの僻地で幽閉……ってところになるのかな。生かす必要があって生かした相手を殺すほど、この国は余裕がないわけじゃないし」
「同情はしないけど、まぁ、生きてるならそれでいい……のかな」
グオリエは、呪本の適合から生還した初めての適合者だ。
そのことに関して、色々と研究が行われたりするだろう。
人を使った実験というと、怪しい気配がするが、この国はそういう怪しい実験をするほど腐ってはいない。
というか、そういうのを主導するのはホーキンス殿の役割だ。
身内に対する実験に、それなりの手心が加わるのは当然だろう。
総じて、グオリエは決して死んだり人道的ではない扱いを受けたりはしないが、普通の人生は送れないだろう、と言える。
「ただ、俺達がグオリエを救ったことには、間違いなく意味がある」
「それって?」
「フィーアは殺すよりも救う方が、たとえグオリエ相手でも納得できるだろ?」
「……そうだね」
結局のところ、俺達がグオリエを救ったのはフィーアがそうしたかったからだ。
そしてそれを俺は後悔していない。
むしろ誇らしく思っている。
そして――
「やぁ、二人共お疲れ様」
――彼女が、俺達に声をかけてきた。
俺は、フィーアは、その声を知っている。
二人で振り返って、その名を呼んだ。
「――師匠」
「お母様!」
俺達を呼び止めた女性。
俺の師匠にして――フィーアの母親。
将姫アストラが、立っていた。
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