第221話 師匠と母親①
ホーキンス殿が去っていって、俺達は解散することになった。
後始末は、待機していた騎士がしてくださるそうで。
殿下は騎士たちに指示を出してから王城に戻り、俺達はこのまま帰っていいそうだ。
ただし、カミア皇女とフィーアを王城と寮に送り届けてから俺は変えること、とのこと。
そこはまぁ、言われるまでもない。
「……結局、グオリエは何がいいたかったの?」
そして首を傾げるフィーアは、殿下にこっそりと聞いていた。
内緒話をしているつもりかもしれないけど、普通に聞こえてるからな?
「謝罪だ。しかしそれをしたら、フィーアに迷惑をかける。それを察したハイムが止めたんだ」
「ああー……」
「ポイントは、ハイムが止めた後何様を言わずともグオリエが理解した点だな。グオリエも、フィーアに迷惑がかかることくらいは止められただけで理解できる程度に、フィーアを理解していたということだ」
「ええー……」
嫌そうにするフィーア。
だから、聞こえてるからな?
「グオリエが驚いていたのは、それだけじゃない。自分は止められなければ気が付かなかったが、ハイムは最初から気がついていたことだ」
「そ、それって……私に対する理解で自分がハイムくんに決定的に劣ってることを理解したからってこと?」
「そういうことだな」
殿下も解説しないでほしい。
気恥ずかしいんだが!?
「コホン」
「おっと、そういうわけで三人とも、早く帰るといい。今日はつかれただろう」
「はーい」
俺が咳払いすると、気まずそうに殿下がそう促した。
そうして俺のところに寄ってくるフィーアと、気まずそうな殿下を見て、カミア皇女がニヤニヤしている。
「笑うな、カミア」
「笑ってないデース」
そして、殿下は俺に対して――
「……ご苦労だったな、ハイム。今回の件は、君が主導して解決したことだ。その功績、忘れることはないだろう」
「光栄です、殿下」
「……卒業後を、楽しみにしているぞ?」
なんて、笑って手を振った。
ありがたい話だが……有能な部下が増えて嬉しいだけじゃないか? アレは。
その後、先に寮へ皇女を送り届けることになった。
そっちにいってから王城に寄って帰る方がスムーズだからな。
決して、フィーアと二人になりたいわけではない。
「アタシも、お手伝いできて嬉しかったデス。久々にディアとも一緒に戦えマシタし。いい経験になりマシタ」
「ええ、感謝する、皇女」
「ありがとね、カミア」
そうして、カミアとも分かれる。
「次はなんでもありで貴方と戦いたいデスね、ハイム」
「それは……まぁ、考えておきます」
多分、流石に俺が勝つんじゃないかな、と思ったが言わないでおいた。
実際、やってみないとわからないし慢心は禁物だ。
ともあれ、皇女は寮へと嬉しそうに戻っていった。
「……俺達も帰ろうか」
「そうだねぇ」
そして俺とフィーアが、二人きりになった。
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