第24話襲撃

「まぁいい。今日はこれくらいにしてやる」

 そういわれて、気を抜いているとドゴンっと大きな音が鳴りだした。

「な、なんだ!?」

 と華恋の方を見ると、かなり深刻そうな顔をしていた。

「良太!」

「あ、はい!」

「逃げるよ! あっしについてきな!」

 と、華恋に引きずられる。


「はぁはぁ、いったい何が起こっているんですか?」

 現状が分からず疑問を華恋にぶつける。

「あっしにもわかんないよ、とにかくまずいと思ったからね」

 どうやら華恋も状況を分かっていないらしい...

 そう話していると、またドンっという爆発音が聞こえる。

「これは...まさか...」

 少し考えた姿を見せた後こちらに振り向き。

「加勢しに行くよ!」

「え!?」

「いいから、来い!」

「はい!」


 目の前に広がっていた光景はまさにこの世の終わりのような光景だった。

 まるで、戦争の後のような...

 さっきまでたくさんいたキョンシーは一人として姿がなく、建物もバキバキに崩れていた。

 そんな感じで、華恋とあたりを見渡していると、数人の人間がゆっくりと近づいてきた。

「くっ! やはりお前らが!!」

「あら、あなたは華恋さんですか? お久しぶりです~。ざっと、400年ぶりですかね」

「え、なんですかこの人達...華恋さん」

 問いかけるように華恋に聞いてみた。

「こいつは、人間という器を捨てた人間さ」

 訳の分からないことを言われる。

 そいつらは今度良太の方を見てくる。

「あなたは、例の神無家の方ですか? いや~まだ生き残りがいたなんて...始末し忘れましたわ、アハハハハハ」

 良太の頭の中で『始末』という言葉に引っ掛かりを覚える。

「もしかして、母のことをご存じで?」

「あ~はいはい、覚えていますよ。悲惨な最後でしたね」

 その言葉に良太の中の何かがプチっと切れた。

「お、おい! 良太落ち着け!」

 華恋のそんな声が聞こえる。

 しかし、良太は止まれない。

 腰の鞘から刀を取り出し戦闘態勢に入る。

 それをみた華恋も同じく戦闘態勢に入る。

「命懸ける覚悟ありますか?」

「ああ、もちろんだ」

「良太、行くよ」

 華恋の声が合図になり、両者どちらも動き出す。


「血神」

「ほう、面白いことしますね。だったら私は...『創造』」

 相手はそういうと手から銃を作り出す。

 それは、第二次世界大戦に使われていたライフル銃だった。

「な!?」

 驚きを隠せない良太に、そいつは銃を良太の方に向けてくる。

「まぁ。せいぜい楽しませてくださいよ」

 その瞬間にドンっと銃声があたりに響き渡る。

 良太はそれを何とか避ける。

「これで終わりですか?」

「いや、まだだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

下界の見えざる者たち 染谷 式部 @asaka223

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ