第21話阿修羅2
血の力を使うためには自分の血を使って戦う
ちなみに、神妖術は神だけが使える妖術のことだ。
良太は刀を自分の腕に向ける。
怖い、怖い、怖いという恐怖の感情でいっぱいになるが――――
「があああああああああ」
「なんだ、ただの腰抜けだったのか?」
「良太君、それは!?」
これで使えるようになった。
心の中で唱える。
「な、なんだ!?」
阿修羅が一歩後ろに下がる。
腕から流れていた良太の血は宙に浮く。
「行くぞ」
「そ、それは...伊邪那美の...ああ、そうか。お前が、神無家かあああああああ」
「ご名答」
「忌々しい。人間の器で神の力を使用するなど...万死に値する」
そして、阿修羅の表情が硬くなる。
「もし、これで俺が勝ったら...下界側に来てもらう」
「良いだろう。武神の名に誓うとしよう」
その言葉を言い終わると良太の真後ろに瞬時に移動した。
阿修羅は良太の首を狙い刀で切ろうとする。
「血盾」
ボソッと良太が呟くと血でできた盾が阿修羅の刀をはじく。
「なかなかというところか。あと、お前は黙ってみてろ」
そこには、腕をつかまれていた社畜の姿があった。
「良太君...! それは...ダメです!」
「ごめん社畜。俺は、戦うよ。この戦争で...勝つために」
「血槍」
「....ッ!?」
血の槍がまっすぐ阿修羅の方へ向かう。
それを、阿修羅が刀を使って防ぐ。
「こんなので勝った気になるなよ」
そして、刀を構える。
「炎刀・火だるまァ!」
阿修羅の持っていた刀が炎に包まれる。
触れれば体が溶けてしまいそうだった。
「クッ....!? 血刀!」
同時に良太の刀も血に包まれていた。
その二つの刀が交わされる。
阿修羅の刀からは火花がバチバチと音をたてる。
良太の刀はそれを懸命に防ぐ。
「炎刀・花刀火ぁああああああ」
火でできた花が見えてくる。
幻覚!?
幻覚の効果で阿修羅が分身したように見える。
同時に数十の刀が良太を切りかかりに来る。
「どれが、本体なん―――ガハッ」
そのうちの一本が確実に良太の腹を貫く。
「甘いっていてんだよ。人間」
そこで初めて阿修羅がニヤリと笑みを浮かべる。
「良太君—ッ...ぁぅ...」
社畜のもとに阿修羅が移動し、社畜の首を絞めていた。
「地界の戦力もこんなものか? はは、笑わせるな」
そこで、阿修羅が社畜の首から手を離し、林の方へ投げ捨てる。
あれからどうなってしまったのか...
腹!?
を見ても傷一つなく自分の血痕もなかった。
「なんだこれ、———ッッ」
視線の先には...社畜がいた。
息もしていない...死体...
絶望と何もできなかった自分への悔しさがあった。
俺は、どうすればいいんだ...
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