第20話阿修羅

 神を仲間にする。それが、俺ら下界の勝利条件となるだろう。

「社畜、誰を仲間に引き込めそうだ?」

「そうですね、阿修羅とかが妥当だと思います」

 そこで、一枚の写真を見せられる。

 肌は赤く、腕が数本はいている巨体だ。

「この神は別名武神と言って、こいつに勝てば協力してくれるという神だ」

「そうなのか...でも、勝てるのか?」

 その問いに難しそうな顔をしている。

「さて、どうでしょうか...」

 そして、社畜は少し間を開ける。

「まず、術には霊級と神級と二つあります。しかし、良太君は神級術を一つしか持っていません。この阿修羅に勝つためには、神級術を五つ欲しい所です」

「あと、四つか...」

 神級術を取得するにはかなり時間を要する。

 閃光神は伊邪那美の術で取得しただけだ。

「なんとかなりませんかね」

「何とかなったらいいんですけど...」

 悩みに悩み続けた結果、伊邪那美を呼んだ。


「わっちに何の用だ」

「神級術をあと四つ取得させてください」

 良太が土下座して頼み込む。

「快く了承したいところなんだが...わっちの妖力が持つかどうか...」

「それは、私にお任せください」

 社畜が手を上げる。

「わかったわ。やってあげる」

 そして、手を良太の背中に当ててもらう。



「終わったわ」

「あ、ありがとう! 伊邪那美」

 そして、俺は神級術を五つ取得した。

「さて、行きますか。阿修羅堂に」

「ああ、わかった」



 次の日、俺らは阿修羅がいるといわれている阿修羅堂という神社に向かった。

 周りは木々に囲まれていて、薄暗く、参拝者もほとんどいないようだった。

「誰だ、われの神社に来たものよ」

 どこからか声が聞こえた瞬間、意識が飛びかける。

「がっっ―――」

 後ろに勢いよく良太は飛ばされていた。

「大丈夫ですか!? 良太君!」

 社畜が駆け寄ってくるが...

「我が神社を汚したものは殺す」

「良太...君...逃げてください...」

 社畜が良太に言う。

 否、戦わないと駄目な気がする。

 そこで、一つのことを思い出す。


「良太。わっちは破壊神またの名を復讐神。ここからよく聞いてほしいだ」

「うんうん」

 こいつ、こんな露出度高くてナイスボディなのに名前がこんなに怖かったんだと良太はギャップを覚える。

「尊寿に聞いたんだけど、お父さんが殺されてしまったのよね?」

「はい...」

「多分その時に復讐の神の力が解放されたんだと思うわ」

「神の...力?」

「そう、この神の力は...血の力と...うんうん何でもない!」

「いや一番気になるところで終わらせるなよ」



 血の力...

「おい、何ボーとしてる。餓鬼」

「その口、閉じさせてやるよ」

 俺は、こいつを倒す。

 そして、天照を殺す。

 そして...父に感謝したい。

「閃光神」

「ほう」

 光の速さで良太が阿修羅に近づいて腹を切りにいく。

「甘いな」

 しかし、阿修羅は刀身を指でつかみ投げ飛ばす。

「人間でこんなに強いやつは久しぶりに見たぞ」

「阿修羅。俺はお前の助けが必要なんだ。だから、ここで倒す」

「いいぞ、いいぞ。武の血が騒ぐぞ!」





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