第17話伊邪那美

 刑務所内に入ると、警備員がほとんどいなかった。

 要するに、さっきの増援で警備員全員が死んだということだろう。

「一応、まだ警戒しておいてください」

「「はい」」

 そのまま、地下へ向かい伊邪那美の姿を追う。

「どこだー?」

 と目を凝らして牢屋を見ていると、いた。

「あ、いましたよ」

 社畜の声に良太達も集まる。

 そして、社畜が牢屋を切る。

「あなたたちは...」

 そこには、女がいた。

 すごくきれいな容姿だった。

 ついでに、胸も大きい。

「あなたが、伊邪那美ですか?」

「突然わっちを呼び捨てにするとは...ん? もしやお前は、神無家か?」

「はいそうです」

 そして、伊邪那美は勢いよく良太の方へ向かい抱きつく。

「まさか、こんなところで会えるとは~!」

 と、すごくうれしそうにする。

(肉親にこんなこと思うのもあれかもしれないけど...可愛いーーーー!)

 と、どちらもうれしそうにしている。

「あら、よく見たら尊寿と社畜じゃないか。久しぶり」

「お久しぶりです、伊邪那美様」

「社畜、そんなにわっちにかしこまらんでも良い」

「いやー、久しぶりだのう」

「あんたも、ずいぶんいろんなことがあったようだね」

「まあ、そうじゃな」

 世間話を軽く終えたところで、下界に向かう。



外には、当然のように数十人の警備員と黒い虎が待ち構えていた。

「おせえよ、尊寿と...伊邪那美」

「元気そうね、多分私たちの敵なんでしょ? あなたは」

「ああ、そうだ」

数秒の沈黙の後、警備員たちが一斉に動き出す。

狙いは、伊邪那美だった。

「ッ...! 盾霊!」

キンっと音が鳴り伊邪那美を守る。

「みんな! 伊邪那美を守れええええ」

「はい」

その言葉を聞き社畜は伊邪那美の前に瞬時に移動し、警備員をなぎ倒す。

状況把握しようと周りを見ていると、前から虎が来る。

「何そっぽ向いているううううううううううう」

「がぁあああああああああ」

左手を虎にかまれる。

そして、虎は爪で体を引き裂こうとする。

「風刀 かまいたちいいいいいい!」

「ッッ!?」

そして、刀から無数の斬撃が虎の体に当たる。

その衝撃で虎は良太を離す。

「はぁ、はぁ」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

社畜は警備員とまだ戦っており、ここで足を引っ張れないと良太は思う。

「さぁ、どうする? その傷で戦えるか?」

良太の左手からは血が流れている。

「どおってこと――あああああ」

「そうだよなぁ? 俺の毒には耐えられないよなぁ?」

痛い、痛い、敵を討たなきゃ、殺せ、殺せ、このゴミどもを殺せ!

「はああああああああああああああああああ」

良太は自分の傷を無視して、虎の方へ突っ込む。

「がおおおおおおおおおおおお」

どちらも、雄たけびを上げ、激しくぶつかり合う。

「炎!!」

「月光!!」

技が放たれ、どちらも攻防戦がくり広げられる。



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