第15話宗教

 閻魔大王との話を終えた。

 話によれば、ここ数か月の間に天界の神が下界に宣戦布告するらしい。

 だから、地界は下界の主要都市に兵を置くらしい。

(ついに神との戦いも本格化するのか)

 そして、俺に課されている仕事は...

「妖界で兵を集めることだ」

 そして、一人で妖界に向かった。



「ああ、我が神よ」

「ああ」

 宗教団体。それは、神を祭るものだ。

 そこに、本物の神が現れた。

 建物内は神々しい光に包まれる。

 そして、その中に人影が現れる。

「私は神。天照だ」

 その姿に数人の信徒が涙を流す。

「ああ、あなたが、あなたが」

「ああ、私は神だ。だから、お前たちにありがたいお告げをしてやる」

「ああ、神よぉ!ありがとうございます」

「では、東京を血の海にしてください。心配しなくても仲間はいます。安心してください」

 キンっと天照が手から武器が落ちる。

「これを使え」

 信徒たちは少し怯えながら、武器を見る。

「これは、命令だぞ」

「は、はい」

 その、物々しい雰囲気には信徒の誰もが拾うしかなかった。

「明日、殺せ」

「わ、わかりました」

 信徒は深く頭を下げて天照を見送る。



 ――次の日

 良太は、ニュースを眺める。

「はぁ、昨日は結局進展なしか...」

 それは、妖界に行った日のことを指す。

「そうか、そうか」

 尊寿はまだ全身は治りきっていなかった。

「尊寿も早く直せよ、ケガ」

「まぁ、善処する」

 そこで、興味深いニュースが流れる。

『今日午前9時頃、大規模な殺人事件が起きました。全員宗教団体のものだったそうです』

「ふーん、東京だって。怖いね」

「ほんとじゃのう、物騒じゃ」

 そこで、スマホを開いてぼーっとしていると。

 外から叫び声が聞こえる。

「な、なんだ!?」

「良太、早く逃げろ」

 それは、父の声だ。

「尊寿、もしかしてこれって...」

「ああ、察する通り天照かのう」

 そこで、扉があく音がする。

「はぁはぁ、俺は!俺は!やったぞ」

 知らない男の声...

 嫌な予感がし、包丁をキッチンからだし、玄関に向かう。

「ああ、ああ」

 そこには、さっき声を出していた父が横たわっていた。

 それと同時に玄関前に赤が広がる。

「ひ、人だあああ」

 こいつが、こいつが?

 こいつが、俺の肉親を...たった一人の肉親を?

「ま、待て良太。早まるな!」

 尊寿が良太を止めようとするが止まらない。

 憎い、憎い、憎い、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎いいいいいいいい。

 心の中?いや体の中が神々しく光る気がした。

『神の力』

 頭の中に声が聞こえる。

しかし、

(さぁ、行くぞ)

 心の整理をつけて、足に全力で妖力を込めて、まだ視線から消えていない殺人鬼に狙いを定める。

「はああああああああああ」

 ものすごいスピードで道路を駆け、父を殺したそいつに近づく。

「あああああああああああああ」

「叫ぶなあああああああ、死んどけえええええええええええええええ」

 そして、急所をわざと外して刺す。

「あああああ、痛い、痛いよお、天照様! 神様あああ」

「おい」

 髪を鷲掴みにして、顔を見る。

「天照っていったか?」

「は、はい」

「そうか」

 そして、首元をナイフで切り絶命させる。

「天照。殺す。絶対」



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