第10話きまぐれ

ここは、天界。

神たちの住みかだ。

「おい! 天照、本当にやるのか!?」

「ああ、ぼくは本気さ。神の全勢力を使って、下界を滅ぼす」

「そうか...」

これも、神のきまぐれってやつだろうか。

天界では、既にこの事は、確定してしまっていた。

天狗は、死んだが計画は順調に進んでいた。

「あとは、地界かな」

天照の独り言だった。


地界。そこは、死者の世界。

「だ、大王様。これを...」

一人の霊の目の前にいたのは、人間二人分ぐらいの背の高さの巨体だった。

名は、閻魔大王。

「はい、はい」

その書類に記載されていたのは、天界の作戦のことだった。

「ほほーう、天照はなかなか面白いことをするなぁ」

興味深そうに、資料を読み進めていく。

「おい、お前」

目の前にいる会社員のような霊を呼ぶ。

「は、はい。なんでしょう」

「伝えておけ。我々は、下界に付く、とな」

「は、はい。承知いたしました!」

霊は、はや歩きで、目の前を去っていく。

はぁ、演技も大変だ。

たまたま、大王になっただけなんだけどなぁ。

内心そう思いつつ、仕事を再開させる。



休日。

良太は、家に引きこもり趣味のアニメ鑑賞をしていた。

「おお、そういうこと!?」

興奮気味で画面を見つめている良太に刺客が来る。

「良太! 元気してたか?」

うわっ...来たかついに。

「何?」

「地界からじゃ。天界が...下界を破壊する」

「え!? ...なるほどなぁ」

「ん?なにか思い当たる節があるのか?」

「ああ、なんかこう...恨みとか、憎しみが感じる...」

「そうか...なんとなく正解だ。神は下界に強い憎しみや、恨みがある。今下界といわれているここの正式名称は、現世だ。でも、現世が憎い神達は、現世を見下すように下界となずけたんだ」

「そうか...」

「だからこれは...ずっと前から計画されていたんだ」

それが言われた瞬間、空気が変わった。

窓がガタガタと音をたてる。

そして、窓を何者かに割られる。

「いやいや、そういうの行けませんねぇ?」

そいつは、手を開くと尊寿が壁に打ち付けられる。

「がはっ」

「そこで、ちょっと黙っといてください」

尊寿は、蜘蛛の糸で拘束される。

「尊寿っ!」

妖力操作で糸をほどこうとした。

「いやいや、空気読んでください」

体が意図的に蜘蛛の糸で浅く切り刻まれる。

「あああああああああああっ」

血が全身から流れる。

「だから、言ったやないか」

どうする、どうする?

全身から汗が流れる。

体が熱くなる。

そこで、全身に妖力を溜めて自分の全力の速さで動く。

「はああああああ」

「馬鹿! やめろ!」

尊寿の声を無視して、その神に立ち向かう。

「あらあら、立場をわきまえてくれますぅ?」

その瞬間、体が見えない物に強くはじかれる感覚がする。

「うっ」

ドーンと家を破壊しながら良太が飛んでいく。

「良太!」

「ああ、そういうのいいから。うん」

そうして、拘束されている尊寿の頭を蹴る。

「くっそ...」

「悔しいでづかぁ? そうですよねぇ?」

そこから、尋問が始まった。




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