第9話神殺し

 夏休みが終わって、1か月がたとうとしていた。

あの後も、修行を続けた。

「もう、十分強くなったのう」

「そう?」

「うむ、そろそろ行くかのう」

そうして、歩き出す。

「天狗を殺すぞ」

「わかった」

神は10人存在している。

そのうちの一人の天狗。

そいつを、殺しに行く。

(わしも、そろそろヤバめだからのう)

そう思いながらも、天狗のいる場所へ向かう。


 来たらしい。

そこは、誰も来ていない神社だった。

既に廃れて、悲しい神社だった。

「待て、話声がする」

尊寿に言われて息をひそめる。

「あの人は面白いことしますねぇ」

「これも神の気まぐれってことでしょう」

「ふふふ」

不気味な笑いを浮かべる神の姿があった。

パッキっと木の枝を踏んだ音を良太が出してしまう。

まずいと思った良太と尊寿は、戦闘態勢をとる。

「誰かいますねぇ」

「ここは、私が」

「わかった」

そうして、自分たちの隠れているところを見る。

「ここ、私を祭ってくれていたんですよ」

あきらめて、隠れていた場所から身を出す良太達。

「そうか」

「なので、罰当たりのことしないでくれますか」

その後、憎悪に満ちた顔をした天狗が、良太達に襲い掛かる。

「絵霊!!」

そして、剣を描き応戦する。

「また強くなった...なぁぁあ?」

「そうか?」

余裕のなさそうな声で良太は言う。

天狗のやりを良太の剣で防ぐ。

天狗は蹴りがつかないと踏み、空へ行き距離を開ける。

「霊矢!」

空から無数の矢が降ってくる。

尊寿は、すでに撤退している。

(くそっ、ここからどうする)

良太の思考が加速し、打開策を考える。

「絵霊」

良太は、盾を描きそれで矢を防ぐ。

「まぁまぁだな。小僧ぉぉぉ!」

そして、天狗の攻撃はさらに激しくなる。

「矢神!!」

そこには、100を超える数の巨大な矢が空に埋め尽くされていた。

「なっ!?」

「とっとと失せろ」

その瞬間矢が動き出し、良太のもとに向かう。

「大一番だなぁぁ?」

気合を入れて、矢のもとに向かう。

「はあああああああ」

剣と盾で防ぎながら天狗のもとへ向かう。

行ける!これなら!

「甘いんだよ。馬鹿が」

すると、防いできた矢が一気に反転し良太の方を向く。

「くっ!」

矢が体をえぐり取っていった。

でも致命傷は避けた。このままいくしかない。

血が流れつつ、さらに天狗のもとへと前進する。

「まだ来るか...鬱陶しい」

その余裕を壊すような技を良太は出す。

「我に力をくれたまえ、光のような速さをわがものに!」

「な!? まさかそれは!」

「閃光」

白い光が空を包む。

夜の空に流れ星が降る。

「ごふっ...はぁはぁ。まさか、ここまでとは...」

「さようなら」

そういうと、良太はすぐに反転して天狗の首を切る。

「これで、一人目か...いったい何が面白かったのだろうか...」






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