第5話妖力

 今日は、7月25日。

これを意味することは...夏休みだ!

学校は長い休みに包まれるんだ!!

良太は2階で一人はしゃいでいた。


尊寿は森の中から抜けて東京の街へと歩き出す。

 そこに、神々しい光とともに空から一匹の狐が降ってくる。

「久しぶりだな。尊寿」

静かに話しかけてる。

毛の色は白色で、伏見稲荷大社の狐を思わせてくる見た目をしている。

「元気そうじゃな、白狐...」

こいつは、神。自分とは住んでいる世界が違ったのだ。

そのせいで、昔は対等な立場だったのにもかかわらず偉そうにしてくる。

「弱いな、ほんとに。実に哀れ...というやつだろ。今にも消えてしまいそうじゃのう」

うつむいた、ままの尊寿が口を開く。

「お前ら、神は皆...わしの敵なのか?」

白狐は、即答した。

「ああ、もちろんだ。神は全員お前の敵だ」

やはり、自分には生きるということはできないのかと尊寿は絶望した。

「まぁ、せいぜいがんばるんだな」

そう言い残し、天に昇って行った。

その後、尊寿も学校へ向かった。

尊寿の最後の希望のもとへと。



 終業式。

沢山の生徒が体育館に集まっている。

 少し時間が経ち、体育館から教室へ戻る。

「では、これが宿題だ」

担任から夏休みの宿題を渡された。

「良太、宿題先に終わらせる派?後に終わらせる派?どっち?」

「俺は、あとに終わらせるかな~」

良太は友達と話し、気づくと帰る時間になっていた。

「じゃあなー」

 と、友達と別れると見たことのある顔があった。

「また、お前か...」

尊寿だった。

「まぁ、そんな嫌な顔すんな。俺は、命かかっているわけだから」

あの、妖術師かなんか―って話か。

「例のこと?」

「そうだ、例のことだ」

 謎な意思疎通をした後、尊寿が口を開き始める。

「お前には、神を殺して欲しい」

「???」

h?

神殺しってこと?

「お前、宿題は最後に終わらせるんだろ、だったら来い」

そういわれた後、自分と尊寿の周りが光りだした。

「京都、、行くぞ」

その言葉で、体がふわっと浮く感覚を感じた。


 目を開けると、山の頂上にいた。

「え、どこだここ?」

前を見てみると、確かに一度修学旅行で来たことのある京都の街並みに見えた。

「はい、これやるよ」

地面に置いてあるものは服だった。

「これで、妖力を制御しやすくなる。ちなみに、前行った妖界で買った」

妖力...というのはわからないが、着ないとまずそうだったので着た。


 「まずは、瞑想だ」

服を着終えた俺に言ってくる。

「えー」

しかし、不思議と嫌な感じはしなかった。

なのでやってみた。


 外で何か聞こえる...呪文みたいなのが...

外では尊寿が術を使っていた。

この術は、人に対して妖力と適性があるか見定めるものだった。

(こいつ...才能はあると思っていたが、いったい何者!?)

良太には、非常に強い妖力の適性があった。

「もう、やめていいぞー」

「外でなんか聞こえていたけど何なの?」

「ま、ま、大丈夫じゃー。それより、今日からここで修行をしてもらうぞー」

「え、俺!?やだ、やだ」

「どうせ、お前のことだ。家でだらだらするんだろ」

「ギクッ」

切れ味の、高い、言葉...

 いやいやながら、さっきの言葉にムキになった俺は、修行をやることになった。









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