第2話下界

 俺は、尊寿。

 俺は、もともと神だった。

 この世界には、地界、下界、天界、妖界がある。

 神だと天界に基本いるのだが、訳あって下界に落とされた。

「くっそ。くっそ、あいつ」

 今日もビルの路地裏で愚痴をこぼす。

 中途半端な人助けをして、何をしたいのか...

 そんなこと自分に問う。

 今日も街をうろつく。

「どうしたらいいんだ...」

 悩んでいると、目の前に高校が見えてきた。

 そういえば、あの坊主...どうしてんだろう。

 それは、紛れもない葬式の良太のことだった。



「おいー、ほんとお前は乗り悪いな!」

 そう言われ、俺の背中を軽い力で叩かれた。

「はいはい、すみませんね」

 そうして、チャイムが鳴る。

 この時間は、数学の時間だ。

「はい、授業を始めます」

 眠い。あくびをしながら、だらだら授業を聞く。

 しかし、ずばり集中できない。理由は...

「肩と頭がなんか重い...」

 数学の教師が呟く。

 そう理由は、肩と頭に霊が乗っているのだ。

「くそっ!お前らのせいで...」

 怒りを込めて小さい声で呟く。

 毎回テストでいい点数を取れないのは、こいつら 霊のせいなんだ!そう、きっとそうなんだ。

 しかし、数学の教師には聞こえてたようですぐに当てられる。

「ここ読んで」

「え、えっとー...わかんないです」

 どこをやっているのか分からない良太は、そう言う。

 こんなの公開処刑だ!っと叫びたくなる気分になった。

 俺は、授業に集中した。



 10分休み。

 やっぱり俺は霊感っというものが嫌いだ。

 ああ、なんかまた来たよ...

 何か来るな、ん? でかい!

 勢いよく振り返ると、何もなかった。

 あきらめて下に、視線を落とすと見たことのある霊がいた。

「あれ、お前って...」

「尊寿だ。坊主、そんなことも覚えていないのか?」

 懐かしいと、ともとらえられるがどうしたらいいんだ...?

 いや、怒りの方が強い。

 葬式の時はよかったが、それからはよくなかった。

「で、何の用ですか」

 怒った口調で言う。

「お、おい、11年ぶりの再会だぞー。もっとこう、、なんかないのか?」

「ない」

 即答した。

「大体お前がくれたこの力のせいで、俺は今まで苦労したんですが?」

「そ、そうか...」

 少し申し訳なさそうな顔をしてそう言った。

 この、尊寿は小柄で一寸法師のような大きさだ。

 黒い着物を羽織っていて、肌は灰色だ。

「てか、なんでお前はそんなに力というか...存在感と言うか...そういうのが大きんだ?」

「俺か?俺はなぁ...」

 少し考え始めた尊寿。そんなにまずいこと聞いたのか?

「よし、そうだな。例えばそこらへんにいるのが、下級の霊だ。ああいうのは時代とともに姿が変わる。もしかしたら、時代の力によって消えてしまうのかもしれない。俺は、上級で時代にあらがえるって感じだ。だから姿も変わらないし、消えるなんてことはない。どうだ?わかったか?」

 うーん、少し実感ができないところもあるけど一応返事をしておく。

「あ、うん」

 しかし、もうすぐチャイムが鳴ってしまいそうだった。

「ごめん、もうすぐ授業始まるから行くわ」

 そう、尊寿に告げて急いで教室に戻った。


「やれやれ、学生とは忙しいもんだなー」

 尊寿は良太の後姿を見てそう言った。

 しかし、その時学校全体がドンという音とともに揺れる。

「な、なんだ!?」



「うわっ、なんだ!?」

(霊...か)

 わずかな気配を良太は感じて、教室から飛び出す。

(なんで俺...出てきたんだ...)

「ちょ、ちょっと良太君!」

 教師の声が聞こえても良太は止まらなかった。

 廊下を走っていると、角から尊寿が出てくる。

「お、良太。いいところに」

「な、何?」

「まぁ、これを受け取っておけ。才能があれば扱える」

 それは、お札だった。

「それは、妖気拳。シンプルでなおかつ強力な技だのう」

「なんだそれ」

「まあ、いいからいいから」

 と、尊寿にそそのかされてやつがいるかもしれない場所に来た。

「ここか」

「くそゴミどもが」

 その冷酷な言葉と共に、良太の意識が飛びかける。

「がぁっ...」

 気づくとそこは、廊下の反対側の壁だった。

 なんなんだ...あいつは。

 あれは、どこからどう見ても天狗だった。

 あんなもの存在していいのかよ...

「あら、まだ立つんですか」

「あ、当り前よ。で、お前は何しに来たんだ」

「伝えたとしても、結末は変わりません」

「くそっ」

 そして、天狗に向かい良太は全力で走り、殴りに向かう。

 しかし、天狗は最小限の動きで拳を回避する。

「ま、所詮人間ですよね」

「な、何――」

 話している途中に蹴りが良太の体を襲う。

「があああああ」

 良太の体は限界が近づいてきた。








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