白い軌跡
蓮)よし、これで全員かな?
俺は殺した死体を燃やした。ちなみに街には人はほとんど残っておらず残っているのは犯罪を犯す輩やチンピラ供で縄張り争いのようなものが起き始めていて無法地帯と呼んでも遜色ない治安の悪さだった。
蓮)ったく。こっちも暇じゃねぇってのに、こんな野郎どもを送りつけて来やがって。東京行ったらぶっ叩いてやろ。
俺は黒百合を鞘に納めるとそのまま、黒い粒子になって消えた。俺はライダースーツに着替えて、ヘルメットを被り、神楽から貰ったバイクに跨った。
蓮)さーてと、行くか。
俺がエンジンをかけるとけたたましい音が鳴った。俺はニヤリと笑うとハンドルを回してブルン!!ブルン!!
と鳴らしてみた。楽しい。
蓮)んじゃ、ぼちぼち行くか。
俺はバイクを走らせ始めた。
ヴーンウーン!!というエンジンの音が街に木霊する。案の定、チンピラなどが興味を示し、バイクで追うがギアを上げ俺は加速する。
蓮)へぇ〜。俺に張り合うんだ。この道を何回チャリで爆走したことか...道を知らない若造どもが...俺に張り合うなんて100年早えんだよ!!
俺はさらに速度を上げ、高速ではなく山道に入る。すると、それに呼応するかのようにチンピラ達も速度を上げるが、一つ一つのカーブで速度を落としている。
蓮)ふん。オートマ車とか乗ってるからそんなことになるんだよ。カーブはギアを変えて曲がるんだよ。
俺は慣れた手つきでカーブを曲がる。何度も走っている為道を全て把握している点でも買っていると言えるだろう。
蓮)おっと、もう見えなくなったな。高速から行くと混んでるからな、田舎道から走るとわりかし少なくて助かるわ。
俺を追跡していた車はすぐに見えなくなった。しかし、さっきの車とは違う音が聞こえた。
蓮)うん?なんだ?さっきとはまた違う音が...
ヴゥーン!!
俺と似たようなバイクで追い抜いた。
蓮)なんだ今の?
しかし前を走るバイクは俺と同じ速度で巡航し始めたと思ったその時!発砲して来た!
ダララララララ!!!
蓮)クッ!!こんな狭い道で何しやがる!!
俺は弾丸を躱すが多少バイクに傷が入ってしまった。
蓮)あの野郎!!俺のバイクに傷をつけやがって!!本気でヤッタラァ!!
俺はバイクを傷つけられた事により頭に血が昇った。こっちは何にも撃っちゃいねぇってのに。俺は懐からベレッタM92という拳銃を取り出す。この拳銃は性能故にアメリカの警察や軍でも採用されている拳銃でデザートイーグルの代わりに貸してもらった。
蓮)テメェばっか撃ちやがって。
俺は対抗して引き金を引き撃つが、まさかのベレッタM92は実銃ではなく、電動ガンだった。ショボイBB弾が相手の横を掠める。
蓮)は!?まさか、銃を取り間違えたのか!?
さらに、相手からの反撃でヘルメットのグラスの部分を撃ち抜かれ、弾丸は貫通し俺の頬を掠める。
蓮)これじゃあ、前が!!
俺はヘルメットを慌てて外した。俺は一旦落ち着く為銃を懐にしまい、さっき殺した隊員が持っていたタバコをポケットから出し、口に咥える。俺は速度を落としてライターでタバコに火をつける。
蓮)スゥゥーー。ウッ!ゲホッゲホッ!!
ちょっとキツイな。後で銘柄確認しよ。んじゃ、冷静になったところで俺は速度を上げてさっきのバイクに張り合う。バイクの性能は中々だが、なっているやつのセンスがない。
蓮)ヘッタクソな運転かましやがって、そんなで人追い越して何銃なんか撃ってんだよ!
俺はバイクに並走を仕掛け、見事に横に並び、運転している奴は驚いた様子でチラチラ俺の方を見ている。
蓮)聞こえてねぇと思うが一つだけ言うぞ。これは修理代の請求書だ受け取っておけ。
俺はそういうと隣を走るライダーにデザートイーグルを向ける。さっき鈴仙にデザートイーグルの代わりにベレッタM92を貰ったと言ったが、実は鈴仙に渡した時にガスガンの方にすり替えていたのだ。
蓮)やっぱり俺はこっちの方が好きだな。今度は本物だ。
俺は冷静に相手のヘルメット事頭を貫く。
ドウゥン!!
頭を撃ち抜かれたライダーは急に脱力し、バイクと一緒に峠に転げ落ちた。
蓮)倒したはいいが、さっきのやつ何者だ?チンピラとはまた違うように見えたが...
俺は首を横に振り、真剣にバイクを運転し始める。さっきよりも警戒をして、運転を続けた。
蓮)今はそんなことに構ってる暇はない。急ごう。
夜の田舎道を白いボディのバイクが走り抜ける。それは流れ星のような"白い軌跡"だった。
3時間ほどバイクを走らせると東京に着いたが、渋滞が起きていた。どうしようか困っていると、神楽が来てくれた。どうやらバイクにGPSを付けてくれていたようだ。
神楽)途中山道に入って加速したり減速していたりしてたけど何かあったのか?
蓮)ちょっと一悶着あってな。それでバイクとヘルメットをやっちまった。すまない、貰ったばかりなのに...
神楽)バイクの事は気にするな!修理してやるし、カスタムもしてやる!ヘルメットだって今度は高性能のやつを買ってやるから任せておけ!
蓮)ありがとよ!そう言ってくれると心が少し楽になったよ。
神楽)それと、今鈴仙を連れて来ているからもしかしたら能力でバイクをしまえるかもな。
神楽がそんな事を言っていると後ろから聞き覚えのある優しい声が聞こえた。
鈴仙)そんなこと言われてもできるか分からないわよ。お疲れ様蓮!
蓮)おっ鈴仙!無事に着いて良かった。そういえば強矢は?
神楽)強矢は先に家にいるよ。
そんなことを話していると、鈴仙が悩みつつも能力でバイクをしまう。鈴仙は少し困惑していた。
鈴仙)え?本当にしまえたんだけど?バイクが兵器判定になるの?え〜?もう昔から試しておけば良かった!今までの仕事結構楽に進んだのに!!
とかなんとか言っていた。まっ、とりあえずこれで一件落着だ...
その時誰かの携帯に電話がかかって来た。それは攫って来た少女のスマホからだった。スマホにはパパと書いてあったので少し警戒して出ると聞き覚えのない太い声の男だった。
??)もしもし?聞こえるか?
蓮)すまない。あんた誰だ?
風道)あぁ、そうだな。自己紹介が先だな。俺の名前は白羽 風道(シラハ カザミチ)だ。白羽組の組長だ。以後よろしゅう。ちなみにあんたの事は下っ端の者から聞いているから自己紹介は不要だ。
蓮)わかった。んで、本題に入るけど...なんのようだ?
風道)娘の様子を聞かせろ。それと、返答にやっちゃあ...お前を探し出して組員全員でお前に落とし前をつけさせるから気をつけろよ?
蓮)少し待ってくれるか?こっちも立て込んでて...声を聞かせられるか聞いてみる。聞かせらなかったらすまない。俺も忙しくてな。
風道)そうか。こちらとしては穏便にすませたい。指でもなんでもくれてやるから娘だけは助けてもらえるか?
蓮)それはこちらもそうだ。とりあえず少し待っててくれ。
俺は電話と距離を空け、鈴仙に娘の事について聞いてみた。
蓮)なぁ、あの女の子大丈夫か?いきなり、俺たちを殺せとか言わないかな?
鈴仙)大丈夫よ。私が車の中であの子には・な・しをつけておいたから。
蓮)そ、そうか...
車を運転していた人は気まずそうにこちらを見ていた。
うーわこれ鈴仙絶対、怖いことしたでしょ?そんなことを思いながら女の子に電話を代わる。
少女)もしもし、パパ?
風道)雪乃か!?大丈夫か?何かされていないか?
俺は少女の目を見ると、目は笑っておらず、適当に対応してるように見えた。
雪乃)うん。全然大丈夫。ここの人たちすごい優しいよ。
風道)そうか!いつでも連絡しろよ!お父さん一声あればいつでもそんな奴ら殺せるから安心して待っ...
雪乃)はぁー、もうそういうのいいから。てか蓮様のお友達の妹さん返してあげなよ。
風道)ゆ、雪乃?
雪乃)早くしてね、クソ親父。
風道)雪乃?男に代わってくれ。
雪乃)男じゃないわ!蓮様とお呼びして!!
そういうと俺に携帯を渡して来た。少女は甘い声で俺にスマホを差し出して来た。俺は困惑しつつも受け取る。
雪乃)蓮様!代わって欲しいそうです!後で私の相手してくださいね♡
蓮)あ、ありがとう。
まじで鈴仙何したんだよ!?朝捕まえた時のご様子とは全然違うようですが!?てか、なんで俺に好いてんの!?とりあえず気持ちを変えて...
俺は咳払いを一つして変わると開口一番に涙混じりの怒号が飛んできた。
風道)お前!俺の娘に何しやがった!!うぅ、大事な娘をよくも!!
蓮)うちの者が何か仕掛けたようだすまない!
とりあえず、取引をしよう。お前の組で2番目に強い奴と1番目に強い奴と戦わせろ。日程は追って連絡する。電話番号は控えたから次非通知でかかってくる電話には注意して出ろよ。
風道)あぁ、いいよ。お前はか・な・ら・ず・こ・ろ・し・て・や・る・か・ら・か・く・ご・し・と・け・よ!!!!!
とゆっくりなテンポで確実に殺意の混じった声で言われた。
風道)それと、お前は簡単には殺させねぇからな。じっくりと痛ぶって魚の餌にしてやる。
他にも太陽の下に10時間晒して、干物みたいに...
など、俺を捕まえた後の拷問について話し始めたので俺はスマホを投げて空中で銃弾を当てて破壊した。
蓮)これからまた忙しくなるぞ。今日はとりあえず皆んな家に帰って寝るぞ。
鈴仙と神楽は黙って頷き、全員で車に乗り込み神楽の手配してくれた家に向かった。
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