虐殺と殺戮

大量のXが街に爆撃のように落ちて来て、家屋が破壊されていった。街は火の手が上がり、炎によって、とてつもない熱気を放っている。そして、虐殺をして回っている。モンスター達によって、家や店から出た人たちを手に持ったナイフや木製のバットで殴り殺していた。


蓮)お前ら...人の命をなんだと思っているんだ...もういい、能力の出し惜しみなんてしない。お前らの命、狩り尽くしてやるよ...今からは俺の殺戮の始まりだ。


俺は再度、左手の親指を立てて、それを下に向けて胸の前で横に引いて唱えた。


蓮)夜染魔我離日(ヤソマガツヒ)


俺がそう唱えると太陽がたちまち皆既日食が始まり、完全に暗くなると太陽から波のように闇が立ち込め、俺たちの住んでいた街を取り囲んだ。


蓮)誰1人...逃さない。お前らの命を狩り尽くすまで、闇は明けず、月も日も登らない。死せる物の摩天楼を築き上げてみせよう。


俺がそう唱えると神無刀架紅は黒いオーラが包み込み刀身は真っ黒に染まっていた。


学校の生徒)何あれ?まさか、あれ契離 蓮?


先生)なんでもいい、倒してくれ!!さっきの無礼は謝るから俺たちを助けてくれ!!


蓮)せーっなぁ。指図するな。こいよ。神無刀架紅


俺はオーラを纏った神無刀架紅を鞘にしまい、能力を発動した。


蓮)こいつでやんのは初めてだが...やれるだろ神無刀架紅。んじゃ行くか...

能力発動、

黒創四凶の刻(コクソウシキョウノコク)


そう呟くと神無刀架紅は紅黒く染まり、禍々しい力を放っている。そして俺は追加で武器を出した。


蓮)空亡(クウボウ)


そう唱えるとどこからともなく黒い鎌が俺の手中に現れた。俺は空亡(鎌)が手中にあることを確認するとXとモンスターの大群の中に消えていった。


ザシュッ!!


という音と共に倒れていくX達にモンスター達や人々は唖然とその光景を眺めていた。


蓮)どんな能力を持ってるかしらねぇが関係ねぇ...俺はお前らに沢山の物を奪われたんだ。能力、地位、家族、俺以外にも沢山の物を奪って来たお前らは今が精算の時間だ。


そう言いながらほとんどのXを狩り尽くしたくらいからだろうか...ドラゴンがちょっかいをかけ始めた。うざったらしく攻撃の邪魔をしてくるため、早々に殺そうと思っていたが、ドラゴンから向かって来た。


蓮) あ゛?お前から殺して欲しいのか?いいぜ?そんなに死にたきゃ...殺ってやる。


俺は神無刀架紅を構えてこう唱えた...


蓮) 渾敦(コントン)


そう唱えると神無刀架紅の刀身は黒く、純粋な闇が纏わりついた。そして俺は刀を振った。すると、けたたましい獣の声と同時にドラゴンは跡形もなく切り刻まれた。その斬撃は一切の迷いが無く放たれた。ドラゴンは塵状になって死んだ。


蓮)この程度で済んでよかったな...塵だけでも残ったこと、感謝しろよ。チッ、量が多いな、これじゃあ能力の限界が来る。間に合わない。仕方ない。こいつを使うか。


そう呟くと俺は街の道を蹂躙するゴブリンやその他のモンスター達の蔓延る道に向けて空亡(鎌)向けるとこう唱えた。


蓮)暗天日魔夜行(アンテンヒャクマヤギョウ)


そう唱えると鎌を宙に投げ、手を鎌に向けるとその場で回転し始めて黒いオーラを纏ったかと思うと、大量の闇の波のようなものがモンスター達を包んで行った。必死に逃げ惑うモンスター達を捉えてどんどん闇に吸い込まれて行った。だが、太陽が姿を表し始めてしまった。太陽が出てしまうと能力が使えなくなってしまうので、俺は焦った。


蓮)能力の限界が近いんだ...急いでくれ!!


その言葉に呼応するかのように波は勢いを増し、全てのモンスターを包み込み、火事が起きていた家屋すらも取り込んで行った。やがてドーム中を全て包み込むと空亡(鎌)に取り込まれていった。そして、皆既日食が終わり、太陽が姿を表した。すると、街を包み込んでいた闇のドームと空亡、そして神無刀架紅はチョコレートのように溶けて無くなった。


蓮)はぁ、はぁ、やべえ。久しぶりに使うと体力の消費具合が分からないな...クッソ立てねぇ。


俺は疲労のあまり立てずフラフラでいた。


鈴仙)あっ!蓮いたよ!


強矢)大丈夫か!蓮!


鈴仙と強矢が俺の元に走って来た。


強矢)蓮!怪我はないか?


蓮)あぁ、怪我はないが能力の反動で立てなくて。肩を貸してくれないか?


鈴仙)分かったわ。


そういうと2人は俺の体を引っ張って肩に手を回して、俺が歩くのをサポートしてくれた。


蓮)すまない、助かる。


鈴仙)本当に大丈夫?子鹿みたいになってるわよ。


蓮)うっ、やめてくれよ...これでも1人で狩り尽くしたんだから。


鈴仙)1人じゃないわよ。私だって学校にいたやつはやったし...でも蓮の能力と私の能力の相性、中々いいわね。


蓮)ん?あぁ、まぁそうだな。確か...影を自由自在に操る能力だよな?


鈴仙)それもそうだけど、そっちの能力よりも影から武器を出す能力の方が便利なのよ。


蓮)え?という事は2個能力を持っているのか?


強矢)あっ、確かに。2個能力持ってるって事?


鈴仙)え?知らなかったの?私は元々能力を2個所有しているの。


蓮、強矢)え?知らんらかった。


鈴仙)え?まぁ、いいわ。また、教えるわよ。


(今回の事、政府が勘づいているな。急いで街を出て行った方がいいかもな。あとで鈴仙と強矢に伝えないとな)

というよな事を考えていたが生まれたての子鹿のような足取りで一歩ずつ帰路を踏み締めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る