指導対象

俺たちはあれからすぐに学校に向かい、教室にほぼ滑り込みのような形で入ったため、ギリギリ間に合った。ホームルームを始めようとした時に俺が入って来たので先生はとても驚いていた。


蓮)おはようございます。


先生)れ、蓮どうした?いつもはもう少し早いだろ?妹さんが亡くなったとはいえ気をつけろよ。


蓮)は...はい


俺はこの時少しイラッとした。学校でいきなり綺が死んだことを口にするのは少しどうかと思ったが、こんなところでキレても仕方ないので返事をして先に着いた。

そしてホームルームを終えてから2時間目、3時間目と退屈な時間が過ぎていった。


蓮の内心)はぁ、この景色をこの場所から見るのも終わりか。場所が変わっても綺の墓には行こう...


先生)蓮!


蓮)は、はい!


先生)さっきから呼んでいるじゃないか。一回で返事しなさい。


蓮)すみませんでした。次は気をつけ...


先生)そんなんだから妹が死ぬんだよ。ったくよ、学校としても鼻が高かったのに、妹1人守れないお兄ちゃんとは、妹も妹でXの相手もできないとはそれで、Aランクとは形だけのAランクとは、ホトホト呆れるよ。


蓮)は?


先生はこの時、人が変わったようだった。いきなりそんな事を口走り、俺は困惑と同時にどうしようもない怒りを感じた。さらに、まわりもクスクスと笑い始めた。強矢は心配そうに俺の顔を伺っていた。


先生)蓮!聞いているのか!その態度が問題なんだとさっきから言っているじゃないか!全く兄弟揃いも揃ってダメダメだとは、両親は何をしたいんだ。それになんだ?妹の名前は確か綺とか言ったな?酷い名前だよ。もっとちゃんとした名前をつけたらいいのに。


蓮)...


俺はこの時、最初に綺に名前をつけた日のことがフラッシュバックしてきた。そして、我慢の限界に達した強矢が声を上げた。


強矢)さっきから先生ひどく無いか!?いきなり、蓮を馬鹿にして、しかも亡くなった綺さんまで馬鹿にして、おかしいだろうが!!


と、怒ってくれたが、まわりの反応は...変わらなかった。


先生)何だね!藪から棒にいきなりそんなことを...


なんで、強矢が蓮なんか庇ってるの?w

情でも湧いたんじゃない?w


などの会話が聞こえてくる。それに暑くなった強矢が、能力を使おうとしたが止めた。


先生)蓮くんは立場をわきまえてるようだね。強矢君はもう少し立場を...


蓮)立場?それはお前がわきまえるべきじゃ無いのか?


先生)なんだと?まだわからないのか?蓮、お前は能力がないし、私は先生だぞ?この私に逆らうのか?


蓮)逆らうも何も、お前のいうことを聞く義理も何も無いし、俺は能力がないわけじゃ無い。あぁ、知らなかったのか?情報弱者め。


先生)ふん、強がっても無駄だぞ?お前に能力がないのは変わらないし、それは事実だ。そんなハッタリが通じると思ってるのか?


蓮)ハッタリなんかじゃねぇよ、バカ。

綺を殺したXは俺が葬った。お前にも、やってやるよ(小声で)


先生)はぁ、立場のわからない生徒は修正が必要なようだな。


そういうと先生は手中から電気を出して俺に向けて放ってきたが...その着弾点にはすでに俺は居なかった。


ドーン!!という打撃音に全員が視線を向けた。

黒板には大穴が空き、先生はしゃがみ込んでいた。

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