嵐の前の静けさ

蓮)ふわぁぁぁ。今何時だってなんか明るいな...って、え?


俺がつけてもいない電気に違和感を覚え、キッチンの方を見るとそこには鈴仙と強矢の姿があった。


蓮)あの〜。何やってんの?


強矢)おっ、やっと起きたのか。もう5時だし料理こ支度をな。


蓮)お、おう。


強矢)そういえば、お前が病院から消えたって聞いて驚いたよ。


蓮)色々あってな💦


と、俺は少し動揺したが強矢は気にせず続けた。


強矢)それと妹の件本当にありがとう。今日担当医に見てもらったら快方に向かってるって言ってくれてたよ。今日中に退院できるレベルまで回復したよ!!蓮には感謝しても仕切れない。


蓮)その節はどうも。だけど元気になりすぎだろ。まぁ、でもそんなにお礼言う必要はないぞ。代償として感情は持ってかれたがな。


それを聞くと強矢はギョッと俺を見つめ、大丈夫なのか!?と何度も言われた。余計な心配をかけさせてしまったな。


蓮)大丈夫だ。感情の1つや2つで人が救えただけで俺は嬉しいよ。


強矢は泣きながらありがとうと俺の手を握った。情が熱いところもまた強矢の好きなところでもあるのだが、それより俺は今日起こった事と政府が危ない事を伝えようとした。が、しかし


鈴仙)ご飯できたよ。食べて〜。


わ・す・て・た!ヤベェ、1番大事な存在を忘れてた。強矢とめっちゃ仲良いじゃん。え?あれが今日の深夜2時まで殺し屋だったの?マジ?とか思っていたが、鈴仙にも声をかけることにした。


蓮)体調はもう大丈夫か?


鈴仙)あっ!蓮さん、その節はどうもありがとうございました。おかげで体調が良くなりました。お礼にご飯を作ったので食べてください!


勢いに押されながらも、俺はそんな鈴仙の姿を見て綺と重なってしまった。だが、気持ちを整理し、分かったといい、料理を見ると、めっちゃ美味そうだった。キラキラ光るエフェクトが出そうなくらい美味そうだった。


蓮)これ。強矢と鈴仙が作ったのか?


強矢)俺は野菜を切っただけだよ。ほとんど鈴仙さんが作ったんだ。すげーよな!


鈴仙は照れくさそうに手をモジモジさせていた。俺はありがとう鈴仙と言うと、顔を赤らめていて、顔を隠してしまった。まさか、な?

俺は気を取り直してご飯を食べると見た目だけではなく味も良かった。ご飯は丁度いい硬さと柔らかさで噛みごたえが良く、おかずの肉じゃがを共に口に運ぶと、絶妙な塩加減と甘さのジャガイモが口一杯に広がった。正直に言うとめっちゃうめぇ。


蓮)ありがとう、鈴仙!めっちゃ美味しいよ。


俺は感情を失ったせいで笑えなかったがこの抑揚は本物だった為、鈴仙はとても喜んでいた。その後、俺たちは鈴仙の作ってくれた夕飯に舌鼓を打ちながら今後の事を話した。


蓮)実を言うと、鈴仙は俺を殺そうとしていた、殺し屋だ。


強矢)え?本当なのか?


嘘だろという顔が見ているだけで伝わってくる。無理もないだろう。ある意味今の状況だけでも情報量がやばいのに。


蓮)あぁ、本当だ。だが、今は和解?して仲が深まったがな。


鈴仙)お恥ずかしい限りです。でも今後は蓮さんと暮らしていこうかなと考えてます。


俺はその言葉に拍子抜けしたが元々欲しかった人材だし、めっちゃ嬉しかった。


蓮)んで、1番の問題は政府だ。


強矢)政府だと?あの政府がか?


蓮)あぁ。


俺と鈴仙は顔を見合わせて頷き、政府のやっている事を強矢に伝えると、静かに頷いた。


蓮)この前の俺の一件もあって政府が俺を狙っているのが分かった。近いうちにこの町を出ようと思う。妹さんのこともあるが町を出ることを視野に入れた方がいいと思う。


強矢)分かった。


蓮)お前は苦手かもしれないが九十九 神楽にツテがあってな。やろう、結構な金持ちでこの話ししたら協力してくれるらしい。あと、お前に申し訳なかったと言ってた。


強矢は少し考えたが、そうかと言って頷いた。


蓮)とにかく近いうちに町を出る。とは言ったが明日出ようと思う。


強矢)明日!?


蓮)早めに行かないと多分、政府に場所や細かい情報を探られる可能性がある。神楽にもそう伝えてあるんだ。出来れば、妹を明日中に退院させて、車で行方をくらました方がいいと思ってな。


強矢)分かった。準備しておく。


蓮)それと、今日はもう遅いから泊まっていけ。


強矢)いや、流石にこれ以上世話になるわけには...


蓮)いいよ。どうせ家には誰もいないんだろ?今は部屋も空いてるし大丈夫だよ。今から外に出て1人のところを政府の奴らに狙われるのもシャレになんねぇからな。


強矢)分かった。


渋々、強矢は納得した。その後、俺は少し警戒しつつ床についた。

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