新たな人生

ドォン! ボォォォ!パチパチ!


と山奥の廃墟の立ち並ぶ場所で緋色に輝く光とオレンジ色の光が行き交っていた。


まずいな。サタンは言って無かったが今の俺は不老不死的な能力持っていると思う。だが、体力の消費がすごい。元々あった体力を8割あるとしたら今は3割もない。覚醒しても相手の能力がわからない。なら、一騎打ちに持ち込めれば...勝てるかもしれない。


蓮)これじゃあ勝負がつかねぇな...おい鈴仙。


鈴仙)私を呼び捨てするのはやめてもらえるとありがたいのですが?


蓮)悪いな、気をつける。それで本題に入るのだけど、お互い能力を使って一騎打ちで決めないか。能力の使用は1つだけだ。今使っている能力も使わない。完全なタイマンをしようじゃないか。


鈴仙)いいでしょう。乗ってあげます。


蓮)お互いインチキは無し、正々堂々とな。

神無刀架紅!


鈴仙)幻猟(ルナティックハンター)!!


蓮)それともう一つ提案だ。俺が勝ったら俺の仲間にならないか。俺はお前が欲しくてたまらないよ。


鈴仙)そんなことあるわけないでしょ。


そういうと鈴仙は俺に銃を向け、引き金を引いた。俺は動きが予測できていたので難なく回避すると鈴仙との距離を詰めて神無刀架紅を振り、重い斬撃が飛ぶ。だが、それは空を切った。


蓮)な!?


俺が後ろを振り返ると鋭く赤い瞳が闇から覗かせていた。


『鈴仙の望み』

私は昔からそうだった。落ちこぼれで親からは虐待を受けては怯えての日々だった。でもこの能力(力)を手に入れてから180度変わった。私は親を殺して人の道を外れ、殺し屋として業界では名を馳せたが結局、私に救いの道はなかった。できるのであれば、人生をやり直したい。そんな儚い願いが私を包み込んだ。


蓮)やり直せるよ。俺となら。


鈴仙)!!


私の正面にいたはずのターゲット、いや蓮は突如姿を消した。能力を発動しないと!発動しない!?なんで!!


ザシュッ!!


刃物が刺さる音と共にハッと我に返る頃には私は血を流し、地面に仰向けで倒れていた。刺されたせいか肝臓あたりに激痛が走った。息ができない。体が熱い。


蓮)俺と組む未来はどうだ?


私とあなたで組む?冗談でしょ?私はたくさんの人を殺めた、犯罪者よ?...でも、可能ならば。もし本当なら"変わりたい"


鈴仙)ふふ...あなたと組む未来もアリだったかもね。


蓮)そうか。俺はお前の意見を尊重する。だが、起きたら過去の出来事を俺に教えるのが代償だ。


鈴仙)私のつまらない過去にはなんの価値もないけど...い...いわ。


私が過呼吸混じりにそういうと蓮は何も言わずに頷き、私を担いだ。蓮の肩でそのまま私は視界が暗闇に閉ざされた。


『15時間後』


鈴仙)ううん...


私はカーテンの間から刺す鋭い太陽光で目覚めた。その部屋は病院でもない、なんの変哲もない部屋。


鈴仙)なんで私、生きてるの?しかもここはどこ?


私は刺された箇所を触ってみると傷は全く無かった。そしてベットの横に服が置かれていた。私はそれを着て部屋を出た。突き当たり階段があり、一階に降りた。


鈴仙)誰もいない?ん?


私はふと居間に視線を向けると蓮がソファの上で眠っていた。私は咄嗟に胸ポケットに手を当てるが銃がない。感触でなんとなくわかっていたが銃がなくなっている事は勘づいていた。だけど、もし銃を持っていても蓮を殺す気にはなれなかった。そして蓮の寝ているソファの近くのテーブルには何か置いてあった。気になり近づくと、そこにはおにぎり2つと手紙が書いてあった。


鈴仙)これを蓮が?敵である私になんで...?あなたを殺そうとしていたのに...


そして手紙に目を向けるとそこにはこう書いてあった。

『刺してしまい申し訳なかった。鈴仙、君の傷は俺の能力で治癒をしたけど万全に動ける状態ではないので無理はしないように!あと君の銃はこちらで回収させてもらっている。必要であれば声をかけてくれ、でもその頃には俺は寝ているので起きてからで頼む。お腹が空いているだろ?テーブルの上におにぎりを2つをこの紙と一緒に置いておくから食べろよ。さっさと体力回復に専念しろ』


私はソファで寝そべる蓮を見て心がドキッとした。


鈴仙)ありがとう。蓮!これからよろしく!

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