第3話

「ママぁ~!!ハピィくんのキーホルダーどこ~?」

 慌ただしい朝の時間帯に、コンソメの叫ぶ声が家中に響き渡った。

「え~?知らないよ。自分で置いたんでしょ?」


 “ハピィくん”とは、娘がお熱の“ハッピィ・ハピィ”というアニメのキャラクターである。

 桃色の髪に、くりくりした深青の瞳が愛らしい元気な男の子“ハピィくん”――

 実はその正体はピンクゴールド色のミニトカゲで、学校で起きる難事件を次々と解決するという、乙女達の心をくすぐるキャラで、コンソメのクラスでは結構流行っているらしい。


「探しておくから、早く学校行きなさい」

「帰ってくるまでに絶対見つけといてよ!!」

「はいはい」

「お願いね!!じゃあ行ってきま~す」

「いってらっしゃ~い」

 

 玄関でコンソメを見送った後、わたしは早速“ハピィくん”のキーホルダーを探したが、どこにも見当たらなかった。

 ハピィくんグッズは娘の部屋の“宝箱”にしまってあるのだが、キーホルダーだけはカバンにつけていつも持ち歩いていた。にもかかわらず失くすとは――


(はあ……どうしたものか……まあ、忘れた頃に出てくるかもしれない。とにかく仕事に行かないと……)


 わたしはキーホルダー探しを中断し、仕事に出かける準備を整え家を出た。


 自転車をこぐこと15分。

 白センのスタッフ用駐輪場に自転車をとめてから、そのまま庭へ赴いた。

 

 この国の住人の移動手段はレールバスの他、自動運転バスを利用している。

 わたしも乗車できるのだが、いかんせん運賃が高いので、少しでも節約したいのと健康のために自転車通勤をしていた。


 玄関前東側には小さな庭があり、毎朝スタッフが交代で水遣りをしている。

 今日はわたしが水遣り当番の日だった。


 ホースで水を撒くと植物がしっとり濡れ、仄かに甘い香りを放つ。

 色とりどりの花が咲く片隅で、ひときわ爽やかな香りが鼻をついた。ハッカメソウだ。

 薄荷と同じく独特のメントール臭がする植物で、オドロシムシ駆除に役立っている。


 オドロシムシは強烈な悪臭を放つ、この国の植物を食い尽くす害虫である。

 他の動物に襲われることがほぼないのでのさばり続け、ウクー達にとって長年悩みの種だった。

 

 ところが、ハッカメソウの付近にオドロシムシがいると、その悪臭が打ち消され、天敵に捕食されてしまうらしい。


 このハッカメソウ、本来は赤郡の辺境地にしか群生せず、発見も困難とされていた希少種なのだが、とあるウクーの活躍により、10年前から他郡でも次々と栽培され始めた。


 白センでは5年程前から育てていて、そのニオイにやみつきになり、眠気覚ましや鼻詰まり解消などに利用しているスタッフも大勢いる。


 “爽やかな1日の始まり”にうってつけの、ハッカメソウのニオイを存分に堪能したわたしは事務室に戻った。

 パソコン作業に一段落付いたところで、パーマ風にアレンジしたおかっぱボブの女子に声をかけられた。


「クラッペ先輩~~昔の“ゆるりるり”が書かれてるパンフレットって、どこにありましたっけ?」

 彼女は後輩のウェンシス。

 歳は62歳、白センに勤めて3年目の若手スタッフである。

 重めのぱっつん前髪、丸みを帯びた形の眼鏡、黒デニムのジャンパースカートという学生風のコーディネートで、フレッシュ感に溢れていた。


 ウクーは青年期が長く、300歳頃までは若者として扱われ、外見にも大きな変化がなかった。


「えーっと、確か書庫に……」

「じゃあ、持ってきます」

「あ、あそこ、ごちゃごちゃしてて分からないと思うから、わたしが持ってくるよ」

「いいんですか?」

「うん」

「全然急いでないので、お願いします……!!」

 ウェンシスはぺこりと頭を下げた。


 わたしは2階の書庫まで赴くと、積み上げられた段ボール箱の中から昔の白センのパンフレットを探した。


(あったあった!!)

 B5サイズの冊子の表紙には、全身オレンジ色のずんぐりした有袋類が載っていた。


 この、コアラとカンガルーを足して2で割った無表情のキャラクターは、白センのオリジナルマスコットキャラクター初代“ゆるりるり”。

 オノオさん曰く「それウォンバットよ。白さんがモデルなの」と。


 名前はコンセプトの「ゆるりゆるりとした日々を」からとって“ゆるりるり”――

 白センをより身近に感じてもらうためにと、オノオさんが考案したらしい。

 

 初代はピクセルアート、いわゆるドット絵のカクカクした外見で約半世紀活躍し、6年前に2代目にバトンタッチされた。

 2代目は公募により決まったのだが、採用されたのがわたしの考えたイラストだった。


 大学卒業後はウェブデザイナーの卵として働いていたので、HTMLタグの基礎や配色等多少の知識はあったものの、イラストを描くのは大の苦手だった。


 しかし、たまたま落書き程度に描いていたコアラっぽい絵がオノオさんの目に留まり、「それ、愛嬌があっていいんじゃない」の一声をきっかけに、手直しして応募することになった。


 利用者に親しみを持ってもらうのはもちろん、朗らかで、そっと寄り添ってくれる、傍にいたら和む存在を想像しながら描いて出来上がったのが、ふわふわした耳に紺碧色の丸い瞳、ホタテ貝殻型の大きな鼻が特徴の薄緑の動物だった。


 このコアラ風キャラは初代と比べると、だいぶスリムで愛嬌のある顔立ちに変わり、白セン内の評判もまずまずで、案内板や掲示物の隅に頻繁に登場していた。


パンフレットの束から1冊取ったわたしは、残りを段ボールにしまい棚の上に戻した。


 事務室に戻るため階段に向かうと、西側一番奥の部屋の扉が少し開いているのに気付いた。

 普段は誰も立ち入らない「倉庫」と称された小部屋だ。


(昨日掃除してなかったっけ……?)


 週に1回は清掃のためスタッフが立ち入るが、昨日ウェンシスが掃除しているのを見たばかりだ。

 他の部屋とは違い、扉の鍵は暗証番号式になっていて、番号を知っているのは限られたスタッフだけだった。

 

 わたしは気になって扉の取っ手をそーっと開くと、黒いパーカーを着た男性の後ろ姿が目に入った。


「あ……」

 とうっかり声が漏れてしまうと、

「こんにちは」

 その人物がくるりと振り返った。


 佇んでいたのはリルさんで、彼の左手には無色透明の玉が握られていた。

「こんにちは……って、それ、宝玉じゃないですか?」

 わたしは自信なさげに指さすと彼は、

「はい。そうですけど何か?」

 穏やかな笑みを浮かべた。


 優しい口調なのに、春のあたたかな陽気とはうって変わって、冬の凍てつくような眼差しにわたしは冷や汗が流れた。


 宝玉とは、中央の棚の最上段に飾ってある水晶玉のことで、オノオさんが自費で購入したという超高価なパワーストーンらしい。

 マイナスエネルギーを浄化する作用があるので、幸運のお守りとして30年ほど前からこの部屋に置かれていた。


(いやいやいや、にっこり「はい」じゃないだろ!!なんで泥棒みたいなことしてるの!!っていうか、どうやって入ったの……!?)


「持ち出すつもりなんですか?」

 わたしはひるまずに尋ねた。

「……騒ぎを起こせば、白センから追い出されるかなって」

「追い出されるって……ここだけじゃすまないですよ、多分。きっと重い罰が…………」

 

 以前オノオさんに宝玉を見せてもらった時、「もし、盗む奴がいたら厳罰に処すわよ!!」と声高々に言っていたのを思い出した。

 高価な物でなくとも窃盗は犯罪だ。そんな行為をすれば国外追放だってあり得る。


「どうせ、消えようと思ってたし……」

「消えるなんて…………待ってくれてる人達がいるんですよね?」

「一番会いたい人の心に、僕はもういないから……」


(フラれたって言ってた人か……)

 しーんと静まり返った部屋は悲しみの気配で満ちていた。


「消えようと思っていた」というのはつまり、死んでもいいと思っている。

 こういう人に「ダメ」というのは容易いが、それでは「なぜダメなの?」と逆に追い詰めるパターンにはまってしまうかもしれない。


(どうやって引き止めれば…………)

 口を噤むわたしの横をリルさんはすっと通り抜け、

「じゃあこれで……」

 部屋を出ようとした瞬間、わたしは彼の腕をガシッと掴んでいた。


「えっと…………その、死ぬのはまだ早い……です」

「どういうことですか?」

「あ、そ、その……誤解されたまま消えるのはもったいないなって……」

「あなたには関係ないことだと思いますけど……」


(そりゃあ、他人だから関係ないんだけど……って、鵜呑みにしてどうする!?)

 怪訝な顔で冷たく言い放つ彼にわたしは委縮したが引かなかった。


「あ、後味悪いじゃないですか……人の物を盗もうとしてるのに引き止められないなんて」

「赤の他人にそこまで思う理由が?」

「ここの利用者っていう共通点があります。あ、わたしは利用者じゃなくてスタッフですけど……」

 わたしは深呼吸して話し始めた。


「わたしも元夫と別れた時、自分の居場所がないって悲観的になってた時があって……故郷には家族も友達もいるけど、娘には帰ったら二度と会えないから……」

 

 ウクーはウキウク国からとニホンを自由に行き来できるが、人間はメツケ役および白さんの許可がないとニホンからウキウク国へは行けなかった。


「それに、また向こうで転職活動なんて……一から労力費やすのを考えたら白に残ったほうがいいと思ったんです。まあ、わたしの甘えなんですけど。なんか、ここで帰ったら負けな気がして……『別れたこと後悔させてやる!!』くらいの気持ちで生きることに決めたんです。最近はその気持ちも薄れてきてますけどね…………」

 ハハハと自嘲気味に笑いながらも、彼の無言の眼差しが痛くて視線を落とした。


「そっか……」

「あ、すみません。わたしの話なんてどうでもいいですよね……」

 くだらない話なんて無視されるか、激昂されるかのどちらかだと思ったのに、意外にも彼は静かに聞いてくれた。


「ウキウクは住みづらくないですか?」

「不便なところもありますけど、それも慣れてきたかなあ…………」

「風当りが強そうですけど……」

「ああ、まあ…………人間と関わりたくないっていうウクーも稀にいますね。でも、どっちかというと哀れむ人のほうが多いかもしれないです。『人間はウクーに比べて税金高いし、給料は安いのによく暮らせるね』とか。離婚してからは特に……それは仕方ないことだと割り切ってますし……白センで働いてる限りはあまり気にならないですね」


 住民が支払う税金は高く、人間は更に上乗せされた額を毎月給与から天引きされていた。

 これも、“人間受け入れ阻止策”の1つだが、教育や福祉の分野など公共事業は充実しているので住民満足度は高いと聞いたことがある。


「故郷が寂しくなりませんか?」

「寂し……くはないです。帰省も1年に1回はできるので……」

「1年に1回って少ないですね」

「手紙は送れるから半年に1回は……娘の写真送ったりしてます」

「スマホ、使えないですもんね」

「はい……」


 わたしのスマホは圏外のため情報送受信手段としての機能は果たしておらず、今は専ら写真撮影や、メモ、目覚まし時計くらいしか使っていなかった。

 

 白郡は他郡よりも情報技術が発展しており、インターネット環境が整っている唯一の地域である。住人たちはパソコンやタブレットから情報を入手している。

 わたしの家にもタブレットが1台あるが、天気予報やニュースを確認する以外は、ほとんど娘の動画視聴用として使われていた。


「手紙のやり取りができるといっても、実際に家族や友達に会いたくなることってありませんか?」

「そうですね……たまには……でも、学生時代から結婚するまで1人暮らししてた頃も、年に1、2回しか帰省してなかったので、わりとすぐに慣れました。それに友達は……ここの方が親しい人多いから。わたし友達少なくて、そこまで故郷に思い入れないんですよ……両親は心配してますけどね。なんせニホン国向こうでは”無職独身”ですから」


 ウキウク国は特定の人間しか知りえない国で、異世界といってもいいほどだった。

 ここで結婚しようが職に就こうが、ニホン国では正式には認められない。

 なので、未だ住民票は実家の住所にあり、保険料や年金も納めなければならなかった。


 年に1回、1週間だけ帰省許可がおりるので、その際には、家族との団欒、友人達と連絡を取り合ったりするのはもちろんのこと、健康診断の受診だけは忘れずに行っていた。

 軽い風邪程度ならまだしも大病にかかるとこの国では診てもらえないからだ。


「別れた当初は『戻って来い!!』って何度言われたことか……でも、さすがに40過ぎた今では諦めてます。とりあえず、わたしも娘も元気でいてくれたらいい!!って」

「良いご両親ですね」

「理解があって感謝してます……あ、ウクーは“お父さん”、“お母さん”っていないですもんね」


「世話係が父母の代わりって言う人もいるけど、独立するまでの間だけで、それ以降は年に数回連絡するくらいかな」

「でも、子供のためにはそのくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか……わたしの娘なんて、まだまだ『ママ~!!』ばっかりです……」


「娘さんは、クラッペさんのこと大好きなんですね」

「多分……食べることが好きだから、毎日ご飯食べられるのが嬉しいんですよ。ウクーは丸1日何も食べなくても平気なのに……わたしがモリモリ食べてるの見て、娘も食に興味がわいたみたいです」

「美味しい物多いですよね。橙郡でも一時期、人間食がブームになっていたことがあって……橙さんが『添加物まみれの食べ物なんて体に毒よ!!』って止めたんですけど」


「添加物は人間も取り過ぎはよくないですもんね……わたしも、元夫に『人間色に染まる!!』って結構注意されてました」

「う~ん……娘さんは喜んでるし、何事も行き過ぎなければ問題ないと思いますよ」

「そうですね。人間を前面に押し出さないよう、こっそり溶け込むような感じでいこうと思います」


 いつの間にか和やかな世間話ムードに変わっていた。


「なんか、話しているうちに気が紛れました。死に急ぐのはやめときます」

「できれば、もう”死ぬ”のは考えないでほしいんですけど……」

「そうだな……まあ、追放されても未練がありすぎて、その辺を彷徨っているかも……」

 くすくすと笑う彼に先程の黒いオーラはすっかり消えていた。


「安心しました。さっきはどうなることかと思ったので……」

「ご迷惑おかけしました」

「いえいえ……!!」

(はあ…………オノオさんも、こんな高価な物を白センに飾っておかなくてもいいのに)


 宝玉を元の位置に戻す彼の背中を見ながら、わたしはひとりため息をついた。

「あ、そういえば、ここの鍵はどうやって開けたんですか?」

 すると彼は少し間を開けてから、

「ああ……この前、ここを通りかかったら事務長さんがいて、鍵を開けているところを見てました」


「見ただけで?」

 手元は見えないように隠されているのに「見て」なんて……あ、もしかして、

「トオシですか?」

「…………うん」

 彼はきまりが悪そうな表情をしていた。


 失くしたものを見つけるとか、行方不明の人を探すとかは聞いたことがあるが、暗証番号を透視なんてできる人は初めて聞いた。


「すごい……って今は褒めちゃだめなんでしょうけど、特技ですね」

「ウクーはできる人多いと思いますよ」

「みんなできたら不法侵入しまくりですよ」

「暗証番号の意味がなくなってしまうな……」

「ここはデジタルよりアナログにすべきですよね。悪が蔓延らないように」

「それでも、できる人なら鍵穴も見えると思いますよ」

 ぷっと吹き出した彼に、

「あ、そうか……」

 わたしは気恥ずかしくなってしまった。

 

 普段使わない物が投げ込まれているだけの倉庫ならいざ知らず、国家の重要機密が保管されている部屋にはトオシの通用しない厳重なロックがかけられているはずだろう。


「事務長さんに報告しますよね……?」

「あ、ああ……うーん……」

「このことは2人だけの秘密にしてもらえませんか?」

 人差し指を口に当て、にこっと笑むと、紫がかった青色の瞳がきらきらと輝いた。

「は、はい……」


(なんか、可愛いかも……)

 わたしは年甲斐もなくキュンときてしまった。

 

 大事にならなかったので報告義務はないのだが、こんなときめく仕草をされたら更に口を固くしようという意思が強まってしまうではないか。


「また、お話聞かせてください」

「は、はい……」

 勢いで頷いてしまったわたしは、

(そんなに持ちネタないんだけどな……友達感覚で話したらいいのかな。それなら……)

「あ、あの……!!」

 あることを思いついた。


「その……敬語じゃなくてもいいですよ」

「?」

「いや、えっと……気軽に、自然な感じでいてもらいたいっていうか、リルさんのが歳上だし、わたしにはそんなに気を遣わず普段通りで…………」

(ああ、何を急に変なこと口走ってるんだろ……)

 

 きっと不審がられるだろうなと不安に思っていたら、

「うん、わかったよ」

 笑顔で承諾してくれた。

「あ、そ、そんな感じで……」

 距離がほんの少し縮まった感じがして嬉しかった。


 白センにも“美男”と呼ばれる類の利用者さんは何人かいるが、彼ほど自然に「かっこいい」という言葉が漏れ出てきてしまう男性はおらず、もはや別格だった。


(心に響く言葉なんて言えなかったけど、一応、引き止められたってことでいいのかな……)

 スタッフとしての務めを果たせたわたしはホッと胸を撫でおろした。


 

 この出来事をきっかけに、わたし達はロビーで出会うと、どちらからともなく会話を交わすようになっていた。

 

 リルさんの利用日は火曜と金曜の週2回で、各回とも午後1時半から始まる。

 開始時間の約30分前には来るので、ちょうどわたしが昼食を食べ終えた頃と重なり、勤務開始まで少しのんびりしようかな~というなんとも絶妙なタイミングで会えるのが嬉しかった。


 話の内容は、昨晩食べた料理とか学校での娘の様子とか他愛無い話題ばかりで、特別面白味もないはずなのに、心の広い彼は始終にこやかな表情で聞いてくれた。


 基本、2人での会話だったが、たま~にオノオさんとおばさま方に出くわして、ゲリラ雑談会に加わることもあった。


 フリートークで親睦を深めるノウハウを持ち合わせていないわたしは、おばさま方に調子を合わせてばかりだったが、以前のように嫌な気はしなかった。


 これが20代~30代女性が9割の前職場なら、イケメンと話しているというだけで「陰キャラのくせに調子に乗って」とか「男の前では色目つかってるんじゃない」などと陰口を叩かれ辟易していたことだろう。


 けれども、白郡の住人は淡泊な性格が多いという地域柄ゆえ、必要以上に干渉してくる人はいないので気が楽だった。


 “昼休みの友”は気が滅入る日々の、ちょっとした心のオアシス的な存在になっていた。

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