物語の創作論、主に構造論を読むとよく目にするのが、「主人公は動かない」という文言です。初期設定で主人公に内面的な欠落を与えてそれを快復するか、もしくは新しい何かを勝ち得ることを目標に、主人公は動いていく。 だから、物語の主人公はどんどん困らせよう、どんどん逆境を与えようというセオリーが語られる。 では実際、満ち足りた環境を与えてしまったら? その上で、自ら逆境に飛び込むように依頼だけしてみたら? 女神様のお嘆き、さもありなん――と、そんな物語でした。
最後、オチが良くて楽しめました。こういうちょっと変わった展開の異世界転生ものも良いと思います。
『トラックを駆る死神』に対になっている作品、淡々と仕事をこなす死神はいったいなんのために異世界へと人々を送りこんでいたのか。
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