第8話 エドワード
◆ ◆ ◆ エドワード
ブレンさんと話している最中突然眠気に襲われた。
俺はいつの間にか意識を失っていた。
あの後……目が覚めたら俺は自分部屋のベッドで眠りについていたようだ。
ただし、隣に裸のリーシャがスヤスヤと俺に縋りつくように眠っていた。
窓から射す月の明かりにリーシャがぼんやりと見えた。
ーーまさか?
俺は自分の姿を見た。
何も着ていない。
俺はリーシャを抱いたのか?
覚えていない。あの時突然目の前が真っ暗になった。
薬を盛られた?睡眠薬?媚薬?
だが自分でもわかる。俺はやっていない。
まずリーシャに対して性的な感情が全く湧かない。可愛いとは思う。
だが愛している訳ではない。
だけどこの状況はまずい。
完全にリーシャとの関係を疑われる。ブレンさんも共犯なんだろう。
どうするべきか悩みながら俺はとにかく服を着た。そして部屋を出てカイロの家へ向かった。
この村で俺が唯一信用できるのはカイロしかいなかった。
カイロの家へ行くとまだ灯りがついていた。
扉をノックしようとした時中から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「……ロ、これでリオはこの村から逃げられない」
「アイツの身元が分かるものは全て隠してあるからな、思い出されては困る」
「リオさんはみんなを信じています。なのにこんなことをしていいのでしょうか?」
「仕方がないだろう?リオがこの村にいてくれれば字ももっと書けるやつが増えるし計算だってできる奴が増えて生活が豊かになる。それにあれだけかっこいい男だ。何人か女を当てがえばたくさんの綺麗な子供が産まれてくる。そうすれば他の村の優秀な奴と結婚させてこの村は豊かになっていく」
「リオさんを犠牲にしてまで村を豊かにするなんて……」
「仕方がないだろう!近隣の国が攻めて来るとこの辺の村々は何にもしていないのに被害を被るんだ!そのために女は犯される。男達は奴隷のようにこき使われるんだ。
やっとその戦いも落ち着いてきた、あとは村を復興させなければならない。リーシャもリオを気に入っているし手放したくないと言っている。
しばらくは薬漬けにしてリーシャの体に溺れさせるしかない」
「リーシャは俺よりリオさんを選んだんですね。今頃二人は本当に抱き合っているんでしょうね……」
「仕方がない、リーシャはリオを気に入ってしまったんだ。お前との結婚は諦めてもらう、わかっているだろう?」
俺は怒りで体が震えた。
本当なら怒鳴り込んでこいつら全員殴りつけたかった。
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