第5話:惚れっぽい性格の遊月ちゃん。

「学校へ行ってりゃ、それで勉強したことになるの」


「それに学校に俺がいなくても誰も気にしないし」

「俺が学校休んだって誰ひとり心配なんかしないし」

「だからいいの・・・俺にとって学校より遊月ちゃんといることのほうが

大事だから・・・」


「私と一緒にいるほうがいいなら無理やり学校に行けば?って言えないよね」

「じゃ〜今日は私とニャンニャンして過ごそう」


「ニャンニャン?・・・ニャンニャンって?」


「ニャンニャンはニャンニャン」


「あの、その意味分かって言ってる?」


「分かんない・・・可愛いから言ってみただけ〜」


「そうだよね・・・知ってて言ってるならちょっと問題発言かも・・・」


「なにが問題なの?」


「分かんないなら、それ以上追求しなくていい」


「じゃ〜なんて言えばいいの?」


「そうね・・・ラブラブってのはニャンニャン同様、現段階じゃまだ早いし・・・」


「とにかく、なんでもいいから仲良く過ごせばいいと思うけど・・・」

「外にデートに出るとか映画観に行くとかアミューズメントパーク?あと

水族館に・・・美術館及び博物館に・・・ゲームセンターとか・・・」


「まあ遊月ちゃんといられたら俺はどこだっていいんだけどね」


「ん〜私は、今は外には出たくないかな・・・」

「おうちでイチャイチャして過ごしましょ」


「イチャイチャってのも意味深だな・・・」


遊月は遊星が座ってるキッチンテーブルの椅子の横に別の椅子を持ってきて

遊星の真横に置いて座った。

で彼の顔に自分の顔を近づけて言った。

遊星が少し顔を前に出したらまじでチューできそうなくらいの距離。


「朝食、作ったから食べて?」


そう言った遊月の息が流星の顔にかかる。


「あ、ありがとう・・・遊月ちゃん、めちゃ近いんだけど・・・」


「た〜べ〜て〜」


「はいはい分かってるって・・・遊月ちゃんが作ってくれた朝ごはんだから、

食べてあげなくちゃね」


ご飯は?・・・まあ少しベチャついてたけど食べられるたみたいだ。

味噌汁は・・・・?

おかずのサラダは・・・・?


遊星は、まず味噌汁を飲んだ。

とたん吐き出しそうになったのを無理やり飲み込んだ。


(め、めちゃ不味いけど、不味いって言えない・・・・あとで胃薬飲んどこう)


「どう?美味しい?」


「う、うん・・・お、美味しい」


「遊星、顔色悪いよ?」


「あのさ、遊月ちゃん・・・明日から朝食の支度は俺がするから君はゆっくり

寝てていいからね・・・俺のお客さんだし・・・」


「毎日作るよ、私」


(いやいやいや、毎日こんなもの食わされたら・・・)


「いいって・・・僕が作るから・・・」


「なんで?・・・もしかして不味かったの?」


そう言うと遊月ちゃんは味噌汁が入ったお椀を取って味を確かめた。


「ひどいね、これ、誰が作ったの?」


「君だけど・・・・」


「・・・・・・」


「ごめんね、料理もまともにできなくて・・・彼女失格だね」

「料理なんて簡単にできるって思ったのに・・・」

「ちゃんとレシピだって見たんだよ」


そう言うと遊月は泣きだした。


「あ〜大丈夫だから・・・こういうのはさ普段からやってないと

なかなか・・・でもやってたらちゃんと作れるようになるから・・・俺も

協力するからね・・・一緒に作ろう」


ってことで、ご飯はふたりで、あ〜でもないこ〜でもないって作ることに

なった。


(巫女さんなんかやってるから、料理なんて作ったことないんだろうな)

(作ろうとした努力は買うけど・・・)


遊星は落ち込んでる遊月をソファに座らせた。


「ここに座って?」

「泣かなくていいから・・・」

「ここに座って仲良くテレビでも観よ、ね」


「うん・・・」


そんなわけで、朝は情報番組しかやってないわけでまじでつまらん。


「そうだ・・・アニメでも観る?」


「うん、観る」


遊星は、アニメのDVDをセットした。


楽しいほうがいいと思ってジボリの「ハオルの動く城」をかけた。

遊月は初めてみるアニメに夢中になった、また魔法の世界の話に大いに

関心を示した。


アニメを観終わって遊月が言った・・・。


「私ハオルに恋しちゃった・・・どこに行ったら彼と会えるの?遊星」


「あれは、アニメだから、会えないの・・・」


「だいいち、ハオルのところに行かれちゃったら俺が困るし」

「アニメのキャラになんか彼女取られたくないからね」

「そんなことになったら、せっかくの努力が水の泡だよ」


「え?ハオルに会えないの?」


「会えないの・・・現実の人じゃないから」


「つまんないの・・・」


「ハオルのことはこの世にいない人だって思って諦めて・・・じゃ〜さ別のアニメ

見よう」


そう言って流星はまた新しいDVDをセットした。


今度は・・・


「私、スーパーヤサイ人のキャキャロットって人に恋しちゃった」

「めっちゃ強いし、彼・・・素敵」


「ま、まじで?」

「どのアニメ見せたって主人公、全部恋しそうだな・・・惚れっぽい性格」


つづく。

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