第3話 初めてのダンジョン

 そのダンジョンはこの町では最大規模を誇るダンジョンということであった。

 まあ、大丈夫だろう。

 私の力が何処まで通じるのか試してみるのも一興。


 ダンジョン攻略は順調に進んでいった。

 寧ろ順調に進みすぎて何かあるのではないかと勘ぐってしまう程に。

 最初こそ様々な超能力を駆使して戦っていた私だが、今では徒手空拳で敵をなぎ倒していた。

 途中で出てきたモンスターカードは念の為に拾っては居るが、とてもではないが弱すぎて使う気にもならないので、ダンジョンを攻略したら町で換金しようと思っている。

 とはいえ、流石最大規模を誇るダンジョンと言われるだけあって、ダンジョン深くに潜るに従って、敵の強さは徐々にだが強くなっていった。

 だが、悲しいかなそんな魔物でも鎧袖一触で私の餌食になるだけだったのだが。

 ドンドンと深くに潜って行くと、徒手空拳だけでは倒すのに時間が掛るようになっていく。

 私はこの頃になってくると超能力も駆使して戦うようにした。

 だからといって攻略に難儀する程でもなかったのだが、時間効率を考えると無駄に徒手空拳に拘って長い間暗い洞窟の中で戦うことに辟易していたからなのだが。

 因みにだが、ダンジョンの中は暗いとはいっても仄暗い明るさではあるが、そこそこの明るさが確保されているようだ。

 どうやらダンジョンの壁が発光しているようなのだ。

 何故ダンジョンの壁が発光しているのかは解らないが、特に何もせずとも視界が確保出来るので、特に考えもせずに攻略を進めていく。

 大量の小型の魔物に一度に襲われたり、巨大なドラゴンに襲われたりしつつ、カードを回収しながら攻略を進めていく私。

 ドラゴン等は手持ちのモンスターにしても良いかも知れないと考えながら、ズンズンと歩みを進めていく。

 そして、最下層に辿り着くとそこにはドラゴンの尻尾と翼膜を保持した翼を持った見るからにドラゴニュートと解る美女が居た。

 そのドラゴニュートの美女は一糸纏わぬ姿で威風堂々と立っていた。

 人間の感覚であれば痴女である。

 だが、魔物である彼女からしてみればそれが普通なのだろう。

 実際、身体全体は鱗に覆われており、人間的な艶めかしさとは無縁な容姿であった。

 正し、顔だけは何故か人間と変らない容姿であり、その為に私は彼女を美女と判断したのだ。

「この場所に人間が辿り着いたのは初めてだ」

「そうなのか?

 意外と簡単にここまで来れたぞ?」

「お前のような規格外の人間にしてみれば簡単だろうが、そうでない者達からしてみれは、このダンジョンは人跡未踏のダンジョンだったからな」

「なるほど、そうなると私の能力はこの世界でも有数と言っても良いだろうかね」

「ああ、その通りだとも、誇るが良い。

 さて、人間がダンジョンを攻略する目的などそれ程多くはない」

「そうだね、恐らく君の予想通りだと思うよ」

「ならば始めよう!」


 戦いはまずは小手調べから始まった。

 お互いに武器は持たず徒手空拳でのやり取りだが、ドラゴニュートは爪や牙を巧みに使い攻撃を繰り出してきた。

 私はそれらをかわしながら攻撃を繰り出す。

 そして幾許かの時間が過ぎると、戦いは超常の力を使うものへと変化していった。

 私の超能力と、ドラゴニュートのブレス攻撃が入り乱れる極彩色の戦場。

 ダンジョン奥深くで行われる武闘は誰に見られることなく佳境へと向かって行く。

 ズブリと私の腕がドラゴニュートの胸を貫く。

「グフっ。

 ここまでか、見事なり…」

 戦いに敗れたドラゴニュートは光の粒子となって私の手元へと集まってきた。

 そこには一枚のモンスターカードが存在していた。

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