第12話

西暦2136年 7月 東京 喫茶店アロマ


 どうも、喫茶店アロマのバイト、八代 真司くんです。

 いや~お二人共お熱いね〜しかも、まだキスで照れてるこの初々しさよ!この一週間、ずっと菜緒をストーカーしてたけど、甘酸っぺーんだよ。思わずブラックコーヒー、一気飲みしちゃったよ……ま、これからグチャグチャにしちゃうんだけど!いや~たまんないよなーこのキスですら照れちゃう天坂 菜緒ちゃんが実は処女ですらなく、付き合ったのも俺の指示があったからだなんて彼氏くんが知ったらどうなるんだろうね〜

 あーもう!想像だけで興奮ヤバすぎ!というわけで大体の生活リズムは把握出来たからー、早速拉致ろーっと。拉致る時はちゃんと脅す用の写真も持っていって“あの時”のことを思い出してもらわないとな〜ヒヒッ…!



西暦2136年 3月 東京


「はぁ……はぁ……うっ…!あぁ…!」


「あっ…!あんっ……イクッ…!あっ!」


 とあるラブホテルの一室でまだ10代と思われる男女がまぐわっていた。

 男女共に容姿が整っており、乱れていてもその容姿の艶かしさを増しているだけであった。

 女の方は果てると体を痙攣させ、目を閉じ呼吸を大きくして横になっていた。一方、男の方はゴムを外して白濁の体液が漏れないように結んだあと、女の体に軽く叩きつけた。そして、髪をかき上げベッドの横の机に置いていたスマホで女を撮った。


「いや~君とヤれてよかったよー顔良いし、ナカの具合も締まり良くて気持ちよかったし。な~な〜、俺のセフレにならない?俺のテクも良かったろ?」


「はぁ……はぁ……嫌です……勢いに押し切られて体を許してしまいましたが、貴方のようなクズともうすることなんてありません…!」


「ふーん……だったらこの写真、ネットの海に放出しちゃおっかな〜これめちゃエロいし、バズりそーじゃん?どうする?」


「なっ!?いつの間に…?クッ……!………分かりました。体の関係ですよ?それだけは譲れません…!」


「いーぜ……!そっちのほうが俺もヤりやすいからな…!」


「本当にゲスですね……」


「ククッ……事実だが、そんな言われると黙らせたくなっちまうじゃねぇか……」


 そうして男はキスをして女を黙らせ、再び膨らんだ一物を挿入した。


 2人の行為は夜が空けるまで続き、クタクタに疲れた女が寝息を立てているのを眺めて、2枚の一万円札を置いた男は朝日が上り始めた街へと歩いていった。



 2人の出会いは友人たちが開催した合コンで、女は誘いを断れず参加しただけであったが、男はただ単に十分間に合っているはずのセフレを増やしに来たという最低な理由で参加していた。男は顔が良く、参加していた女たちの人気を集め、男たちから嫉妬されていたが、このような合コンのノリに慣れていたためほどよく流していた。しかし、女は合コン自体初めてであり、しかも容姿が整っているため、男たちから話しかけられ、困っている態度を表に出しても、顔の良い男に夢中の女たちは助けてくれなかった。

 だが、顔の良い男はそんな女を助けてくれた。


「ねぇ、君もこっちで皆と話さない?」


 その誘いに乗った女だったが、男から話しかけられることはなく、ずっとしっぱなしだった緊張がほぐれ、女たちと話している男の話しを落ち着いて聞くことが出来た。男の話しは面白く、つい“クスッ”と笑ってしまう魅力があった。


「ようやく君も笑ってくれたね。合コンは初めて?緊張してるみたいだったし、一気に話しかけられて困ってるみたいだったからさ。」


「え?……えぇ。初めてです。あの…!ありがとうございます。助けてくださって……」


「どういたしまして!こういう会はみんな楽しまないとだからね。余計だったらごめんだけど。」


 女はそう言って微笑んだ男に見惚れ、周りにいる人に適度に回される会話を楽しむのだった。


 しかし、その時の男は偽りだったのだと知った。こうやって騙された女を食い物にしているのだと。あれこれ、言いくるめられ気づいた時にはラブホテルのベッドにいた。ゲスなことをほざきながら、指で掻き回されるのが妙に気持ちよかったのが、悔しかった。

 ただ、ゴムを付け挿入された後のことはあまり覚えていない。貫通の痛みはあったのは覚えているが、すぐに快楽に呑み込まれ、男を受け入れたような気がする。

 体に叩きつけられた大量のゴムと机に置かれている2枚の一万円札とまだ少し温もりのあるベッドがその証拠なのだろう。


 目覚めた女は帰り道に脅されたことを思い出したが、


“あんな男に屈しない……!”


と思いつつも、下腹部が熱くなっていることに自己嫌悪した。

 自室で自身に刻みつけられた快楽を思い出しながら慰めたことが忘れられない……



////////////////////


 懐かしいな〜菜緒とは色んなことヤッたからなー脅して異能力を封じ込めて、逆らえない菜緒ちゃんを調教する……!最終的には、菜緒ちゃんのほうから求めてきたからね〜 

 で、3年に上がる時に、“告白されたら付き合え”って命令したら、本当に付き合ったし。あれは爆笑したね!あの彼氏くん、マジで嬉しそーだったのに、実は既に寝取られてるっていうね。あの様子じゃ、初恋プラス何年か追いかけ続けてたんじゃねーの?悲しい初恋だね(笑)可哀想に……ププッ


 俺は脅す用の写真を眺めて、当時のことを思い出して悦に浸っていた。普通に考えていることはクズである。だが…!!俺は自覚あるクズだ!!だからなんだ?って話しだけどね。でも、無自覚クズよりは断然マシじゃない?うんうん、店長もたぶんそう言うよ…!


 それにね、その時の俺は異能力っていう力がなかったんだよ?体術がある程度出来てても異能力はその程度のことなんてすぐひっくり返せるんだよねー

 だから、搦手を使おうってことで勢いに任せてお持ち帰りして、セフレを拒もうものなら写真と動画で脅すっていうね。もはや黄金コンボよ。おかげで菜緒の異能力『砲』っていうアホみたいに強い異能力を封じれたんだから。前に1回見せてもらったけど、破壊力がエグすぎる。大砲やら銃やらが手から出てバカスカ撃てまくるし、菜緒ってアッチの才能だけじゃなくて戦闘の才能もあるから、写真と動画撮ってなかったら俺死んでたかもなー

 ってことだから、俺は悪くないんだよん〜♪


 我ながらキモいなと思いながら、天坂 菜緒に会うために店長に用事があると伝え、ルンルン気分でヒーロー養成学校へ向かった。

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