第5話

西暦2136年 4月 東京 日本ヒーロー養成学校 東京校 入学式


「続きまして、新入生代表挨拶。新入生代表、天坂あまさか 勇次ゆうじ くん。」


 進行役の言葉を合図に体育館の壇上の階段を踏みしめていく茶髪の爽やかな少年がいた。彼は天坂 勇次といい、今年の日本ヒーロー養成学校を首席で入学した逸材である。

 中学時代からその才は有名であり、化け物じみた身体能力と天才的な頭脳、そして強い正義感を持ち、容姿端麗という完璧超人でありながら、心優しい性格から男女共に友人が多い。

 そんな彼の将来の夢は“ヒーロー”であった。正義の心をもって悪をくじき、弱きを助ける……そんなヒーローに憧れを抱いてからは一直線だった。

 きっかけは3年前、覇道会による東京、埼玉、横浜ヒーロー組合同時襲撃事件である。 

 東京に住んでいた彼はその日、家族と共にヴィランに襲われた。13歳だった彼は凶悪なヴィランを前に、家族を守るため臆せず立ち向かった……だが、ヴィランは強く、天坂 勇次は………“弱かった”。結果としてヴィランに甚振られ、血だらけになってしまった。ゴミのように放り投げられ、家族に危害を加えようとするヴィランを見ていることしか出来なかった。彼はこの時の悔しさを、己の不甲斐なさを忘れることはないだろう。

 

 そんな状況で

 

 とあるヒーローが現れた


 家族と自らの命を救われた天坂はその後、異能力を発現させ、高い正義感と使命感をもってヒーローを志した。

 そして今“プロヒーローの登竜門”と呼ばれているヒーロー養成学校の首席として入学式に立っている。

 

 しかし、2ヶ月後、彼の生涯のライバルとも言える“巨悪”が誕生する。

 それはまさしく運命である。かの巨悪も3年前の事件がきっかけで自身の歪みを自覚したのだから………


「よし……!頑張るぞ、俺……!立派なヒーロー目指して。」


 当然ながらその事を知らない天坂は、悪夢を救ってくれたヒーローの背中を目標に決意を改めるのだった。


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同年 7月 浅草ダンジョン 中層


 俺が浅草ダンジョンに逃げ込んでから、1ヶ月が経った。

 ダンジョン内での生活はとても厳しく、さすがの俺も精神的に参って、改心………してなかった。なんならダンジョン生活をエンジョイしてるまである。というのも、俺はダンジョンに逃げ込んで最初の1週間はモンスターを狩って、生活できる都合の良い場所を探していた。

 しかし、なかなか見つからない上に、ヒーロー・ハンターの目を避け、鬱陶しいまでに湧いてくるモンスターの相手をしながら寝ずにダンジョンを彷徨っていたのだ。ただでさえ狂っている俺が更に狂っちまいそうになるほどだった。まぁ、そんな時は弱そうなヒーローかハンターを甚振って殺して、モンスターに食わせてるとこを眺めて憂さ晴らししていたが……

 だが、1週間彷徨い続けた俺はついに、他人に見つからない上にモンスターも侵入してこない場所を見つけた。そこは浅草ダンジョンの中層にある暗がりでパッと見て分かりにくい洞穴であった。

 あ、そうそうこの浅草ダンジョンなんだけど、世間には洞窟型空想遺跡として知られていて、中は発光する苔のおかげで意外と明るい。だが常に光源がないとろくに探索も出来ないというようなダンジョンも存在するらしく、事前知識あって良かった〜と思ったね。

 そういう事情もあって浅草ダンジョンにはヒーロー・ハンターになりたてのニュービーが多くいる。当然俺はそこに目をつけたわけだが……


「う、うぅ……!うぅー……」


 俺が見つけた住処でタオルを口に巻かれ、手足から流れた血が固まり汚れ、うめき声を上げている20代ほどの青年と、同じくらいの年齢で同じく口にタオルを巻かれ、手足に流れた血が固まっている女2人を、俺はここを見つけてから飼い始めている。

 彼らは新人ハンターのパーティーで、ハンター養成学校時代の同級生だそうだ。青年のハーレムパーティーで、4で組んでいたらしい。

 と俺が拷問やさしくしたら答えてくれた。

 

「でも、さすがに2週間もこいつらで遊んでたら飽きちゃったな〜。男の子のほうは、最近はタオル外してあげても、“殺して……殺して……”ってしか言わなくなっちゃったし。女の子のほうは、目が虚ろだしヤッても機械的になっちゃったもんな〜……ま、新しい玩具おもちゃ探せばいっか〜」


 そうなのだ、最近は彼ら、俺が何しても反応が鈍い。絶望する顔を見たい俺にとっては非常につまらない。最初の方は楽しかったのにな〜

 しかし、こんなに早く壊れるとはなー

 俺がしたことと言えば、不意討ちで襲いかかって、全員の足と手の腱を切ってタオルで口を封じて住処に引き摺ってー……それから男の子の目の前で女の子を一人一人犯してあげたりー……気持ち悪いモンスターを捕まえて女の子を襲わせたりー……早々に壊れちゃったを目の前で切り刻んで、全員に無理矢理食わせてあげたりー……あっ!でも男の子のほうには特別製を食べさせてあげたんだよ!まだ生きてる娘の中で男の子が好意を抱いてそうな娘とヤッてる時に出た愛液と僕の精液をトッピングしたやつ!あれを食べさせた時の表情は傑作だったな〜

 それから、精神的に弱っている時に暴力で追い打ちをかけてあげればー見事に“殺して呟きマシーン”の出来上がり〜

 ………うん、やっぱ楽しかったのは最初だけだな〜それに結構色んなことしたけど、もっと丈夫な玩具おもちゃが欲しいなー

 頭蓋骨を手に持って、唸ることしかできないお人形3体を眺めていた俺はクラスメイト虐殺時に考えていたことを本格的に検討し始めた。あの時考えていたことならば、俺も楽しめて丈夫な玩具おもちゃも手に入る……!


「よし……!ダンジョンを出るか!……その前にこいつらどうすっかなー」


 少し悩んだあと、俺は3体の人形の首を刎ね近くにいたモンスターに食わせて証拠隠滅させてから、ルンルン気分でダンジョンの外に向かった。

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