れいらん邸のルームツアー その一
私の
私たちの通う、
生徒たちも皆、個性的で、寛容的だ。私は、すぐにみんなと打ち
そうすれば、
高校生デビューは、
のん子の家で遊んで以降、さっちゃんの表情が
放課後の、ライブ
だけど、その
私は、そんなさっちゃんの頭を
「お疲れ、さっちゃん」
れいらんは、最高に優しい。誰に対しても、さちに対しても、
スッポンが見上げる月のように、眩しく
れいらんの優しさに触れれば触れるほど、その優しさが
とんだひねくれ者だと、自分でも
こんな
そしてついに、さちはれいらんの家に行くことになった。あんな立派なライブ喫茶を建てれてしまう財力を持った、れいらん家族の家は、どれだけ立派な
行く前日の夜に、メッセージで教えてもらった家を見た時点で、震え上がった。ガチモンの
それでも、れいらんの家には行きたいから、さちは覚悟を固めて、行く決心をした。
「おはよう、さっちゃん!」
れいらん邸に到着した。というか、ライブ喫茶のすぐそばだ。今までは、そんなに気にしてなかったけど、今更気にしてみると、マジでとんでもない家だ。
さちは、手が震えていた。こりゃあ、
「さあ、紹介するよ! 我が家のルームツアーに、レッツラゴー!」
れいらんはそう言って、さちの手を引き、家の中に連れて行く。
生きて帰ってこれるとええけど。
ひ、広い!! そんでオシャ。 一歩中に入っただけで、
「一階は、洗面所とお風呂と、お兄ちゃんの部屋と、
「え、
「そだよ。部屋は有り余ってるかんね」
早々に、衝撃というか、初耳の情報が入ってきた。
「んでここが……」
れいらんは「
色も形もバラバラの四本のギター、
そんな音楽部屋の中で、
「れいらん、あのテントは?」
すると、ちょうどそこで、テントが開かれ、中から玉子Pが出てきた。
「おれの
玉子Pは、
「なんで、家ん中でテント?」
「
三回か四回、瞬きするくらいの間、さちは玉子Pに心を読まれたかと思ったが、こやつは自他共に認めるヤドカリだったらしい。
「おれは、
このテント、四畳半もあんのか。んで、四畳半があっても、まだ余裕あるこの部屋の広さよ。
「じゃあ、他の音楽関係のもんは、全部れいらんの?」
「全部じゃないけど、大体は」
「おれのもあるけどねー」
そこんとこで、さちらは、音楽部屋兼玉子Pの部屋を
「マスターの部屋は?」
「さっちゃんが見たければ、見せていいけど、何の
「いい」
「そんじゃあ、次は二階だ」
れいらんにとっては、何の変哲のないただの部屋でも、さちにとっては異次元であることはざらだ。でも、わざわざ他人の
さ》りたいほど、知りたがりじゃない。
「二階にあるのは、LDKとパパ、ママの部屋だよ」
これがお金持ちの家の、台所と食卓と、茶の間か。どれも、さちん家のとは比べ物にならない広さ、高級感。あまりに神々しすぎて、目が
「そして、三階、私の部屋! 四つある部屋、全部が私の部屋なんだ」
はあ?
信じられん言葉が、今、さちの耳をよぎった。
「まずは、ここだね」
まるで、どっかのおとぎ話にありそうな光景だ。
最初に入る部屋は、戸の札には「
「じゃーん、ここが私の寝室、トロピカルルーム!! いかにも、
バタッ!
部屋を
「もう……ムリィ……」
「さっちゃーーん!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。