第58話

もうこれ以上嘘をついても、ライアンに見透かされるだろう。

「だけど、間違ってたよ。りっちゃんの気持ちなんてまるで考えてなかった」

それに、誰にも愛されないだなんてのは違う。だって実際に、ライアンはリトルブルーのことを。


「少しだけ、ほんとに好きだったのかもしれない」

ノノは、自嘲気味に言った。指の腹にクローバーを乗せて、少し指で擦った。柔らかい感触があった。

 その時。

「何してらっしゃるの」

ノノの背後から忍び寄る影があった。モクレンだ。

「ねえ、あなたのこと、私もっとたくさん知りたいの」

モクレンは草冠をノノの頭にぽっと置いた。寂しげな王様が生まれた。


「俺なんかのことより、もっと面白い奴はたくさんいるよ」

「いいえ、あなたのことが知りたいの」

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