第50話


扉がぎしりと音を立てた。頬に集中していた熱がめぐって、頭から足の先にまで広がってくる。心臓が喉から飛び出してしまいそうだ。

 その時、ぽたりと外から音がした。それはだんだん大きくなって、しばらく経ってからやっと二人は、雨が降りだしたのだと理解した。

雨の涼しさが、二人の熱を一瞬で覚ましてしまったかのようだった。二人は近すぎた距離を今初めて認識し、ますます顔を赤らめて離れた。

「あ、すまない。服を着るのを忘れていた」

ライアンは青地のシンプルな服を頭から被った。

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