第43話

困っていると,扉が小さく開いているのが見えた。ノックをした反動で少し開いたらしい。

というか、鍵が初めからかかっていなかったらしい。

リトルブルーは悩む。一瞬だけ扉を開けて中を覗きこむのは、やっぱり流石に良くない気がする。しかしメンドウドリが…。噂でライアンはお酒が好きだと聞いているので,ワインに合うこのコリっとした美味しい肉をぜひ食べてもらいたい。

リトルブルーは、数分間迷った末に、一度だけ試してみることにした。

「あ、あの、すいません、すいません…」

謝罪を繰り返しながら、少しだけ扉の隙間を広げていく。肉を冷凍させてほしいだけなのだ。

本当に何かやましいことなどないのだ。自分に言い聞かせているのに、罪悪感がどこかに行ってくれない。

 「ライアンさん…?」

再度問いかけるがやはり反応は無し。すいません失礼しますすいませんとブツブツ呟きながら,リトルブルーはとうとうライアンの家の中に侵入する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る