第36話

絶望が膨れ上がる。結局ダメだった、どうせダメだとわかっていた。だけれどほんの少しだけ、自分は期待していた。もしかしたら自分にも手が届くのではないかと期待してしまった。

欄干をキツく握る手から力が抜けた。

「私が期待したのが悪かった」

 リトルブルーは、少し身を乗りだした。このまま重力に従って落ちていったとしたら、きっともう、何を責めることもしなくて済むのだと信じた。

体重がかかった欄干がギシリと悲鳴をあげる。ゆっくりと、身体の力を抜いていく。

その時、誰かに思いきり、足を引っ張られた。

「何やってんの、りっちゃん!」

そう呼ぶ人は一人しかいなかった。

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