第28話

 とある訓練のある日、それはもう終盤に差し掛かっていて、団員もみな家に帰ろうとしている時、リトルブルーは汗を服で拭うライアンにこう言った。

「い、い、いいいいっしょに!」

心臓、うるさい。とまれ、とまれ。

「いっしょに!帰りませんか!」

静まる。誰もが固唾を飲んで見守る。

ライアンがちいさくこくりと頷いた。

そんな日々が、数日続き、数週間続いた。明るいチークと淡いリップを纏ったリトルブルーの笑顔は、無垢な子供のようで、誰かの胸をときめかせることもあった。彼女自身は、そのことに全く気づいていなかったが。

そしてそれはライアンも同じだったようだ。無垢にひたむきに笑うリトルブルーに、彼自身の心も解れていく。

 もはや二人は、毎日一緒に帰ることになっていた。 

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