第22話

「でも」

思わず、「でも」が口から出てしまった。。

「私は、怖い。だって認めたら、認めてしまったら傷つくことになるかもしれない。ライアンさんのことを何も知らないのに。これが恋なのかも愛なのかも分からない。私なんかに好かれたら迷惑かもしれない」

言葉はだんだん熱を帯びて、滝のようにとまらなくなる。

「でも、あの人に愛する人がいるかもしれないと思うと、なんだか、変な気持ちになって。別に嫉妬する権利も資格もないのに。自分がめんどくさくて、嫌で、ほんと何やってるのか、わかんなくて」

結局、

「私は、結局傷つくのが、恥をかくのが、怖いだけだ」

沈黙が広がった。耳鳴りがするほど、静かになった。痛い、重い、苦しい。喉の奥が重くなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る