第21話

「え?」

思いもよらない言葉だった。

「きれいよ。とてもきれい」

きれいと言われたことなど、一度だってなかった。

「いや、あの、え、あ、頭、大丈夫ですか…?」

「失礼ね!これでもまともよ!きれいよ。悩んでいるのは、逃げてないってことでもあるから。あなたは、自分の幸せのために前に進もうとしているのね。とっても美しいことだわ」

会話が途切れる。

「私はね」

モクレンが服をはだけさせる。

「えっ、モクレンさん!?」

服は胸の辺りまで持ち上げられた。白い肌が露わになる。慌てて顔を隠そうとしたリトルブルーは、そこで驚いた。胸の膨らみがなかったのだ。

「男の体で生まれてきたのよ」

衝撃が走った。

「小さな頃から、ほんとの自分を探してきたの。あれも違うこれも違うと思って、辿り着いたのがこの姿。すごいでしょ、女としか思えないでしょ。痛みが私を正しくあらせてきたの」

ふふ、と笑ってモクレンは服装を正した。

「ほんとは、わかってるはずよ。自分がどうしたいのか、後悔しない道はどれか」

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