第20話

「そう」

返事は小さく、短かった。

「好きな人がとても綺麗で、だからあんたは諦めなきゃいけないわけね」

その声から感情はよめない。

ただ。

「それでいいって、心の底から思ってるの?」

声は、リトルブルーではない誰かに怒っているようにも、悲しんでいるようにも聞こえた。

 心臓が、ぎゅっと締めつけられるようだ。

リトルブルーは滲んでくる涙を堪えながら頷いた。

「本当にそう思ってるんなら、どうして泣いたりなんかしたの」

「それは…」

答えられなかった。

「なるほどね」

彼女は微笑む。

「あなたって、きれいよね」

その言葉はリトルブルーの鼓膜に響き、彼女の顔を上げさせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る